半導体産業のビジネスモデルは大きく3つに分類されます。(1)IDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型メーカー)は設計・製造・販売をすべて自社で行います。(2)ファブレス(Fabless)は設計に特化し、製造をファウンドリ(受託製造業者)に外注します。(3)ファウンドリ(Foundry)は他社設計のチップを受託製造することに特化し、自社ブランド製品は持ちません。この分業モデルは1980〜90年代に確立し、現在の半導体産業の構造を規定しています。
IDMの代表例はIntel・Samsung・SK Hynix・Micronです。Intelは長年CPUの設計から製造まで自社で行う純粋なIDMでしたが、近年はファウンドリサービス(Intel Foundry Service:IFS)を強化し、外部顧客の受託製造も行うハイブリッドモデルへ移行中です。SamsungはロジックはIDM兼ファウンドリ(Samsung Foundry)、メモリはIDMとして世界最大のDRAM・NANDサプライヤーです。
ファブレスの代表例はNVIDIA・AMD・Qualcomm・Apple(シリコン部門)・Broadcom・MediaTekです。これらは独自チップを設計しながらファブを持たず、TSMCやSamsungに製造を委託します。ファブレスモデルの利点は、巨額の設備投資なしに設計・ソフトウェア・エコシステムに集中投資できる点にあります。NVIDIAのTSMC依存(売上の大半がTSMC製造)はその典型例です。
ファウンドリの代表例はTSMC(世界シェア約60%)・Samsung Foundry(約12%)・GlobalFoundries・UMC・SMICです。TSMCは1987年の設立以来「顧客と競合しない」純粋ファウンドリモデルを守り、3nm・2nm等の最先端ノードを量産できる企業として圧倒的な競争優位を持ちます。TSMCのアリゾナ・熊本(JASM)・欧州(ドレスデン)への工場展開が地政学的観点から世界的注目を集めています。
ファブライト(Fab-lite)という中間モデルも存在します。成熟プロセス(レガシーノード)のみ自社製造し、最先端プロセスはファウンドリに委託する形態で、STMicroelectronics・ルネサスエレクトロニクス・NXPなどがこれに近い構造です。また、ファウンドリが特定顧客と合弁で工場を運営する「Joint Venture Fab」モデルも拡大しており、TSMCとSONY(JASM)・TSMCとInfineon/Bosch/NXP(ESMC)がその例です。