結論:2D NAND(プレーナー)と3D NAND(垂直積層)の違いは?
2D NANDと3D NANDの最大の違いは「微細化で容量を稼ぐか積層で稼ぐか」です。2D NANDはセルを平面に並べる構造で、15〜16nm程度が実用限界となりセル間干渉でコスト削減が頭打ちになりました。3D NANDはセルを垂直に数十〜300層超積み上げるため微細化なしで大容量化でき、ビットコストが継続的に下がります。現在の量産NANDはほぼすべて3D構造で、Samsung 290層・SK Hynix 321層など積層数の競争が続いています。
比較表
| 観点 | 2D NAND(プレーナー) | 3D NAND(垂直積層) |
|---|---|---|
| セル配置 | ウェハ平面上に2次元配置 | 垂直方向に数十〜300層超積み上げ |
| プロセスノード | 15〜16nm程度が実用限界(それ以下は干渉問題) | 微細化不要(積層数で容量を稼ぐ) |
| ビットコスト | 微細化限界でコスト削減が頭打ち | 積層増加でビットコスト継続低下(128層→200層超で40%超削減) |
| 書き換え耐久性(TLC比較) | TLC:約3,000〜5,000回 | TLC:約1,000〜3,000回(微細化が不要でも積層で悪化しやすい) |
| 読み書き速度 | シンプルな構造で動作が安定 | 積層数増加でワードライン充電時間が増え遅延が発生しやすい |
| 製造難度・歩留まり | プロセスが成熟・歩留まり高い | 積層数増加で孔あけ(エッチング)が困難・歩留まり管理が課題 |
| 容量(単一チップ) | 最大128Gb程度が上限 | 1Tb超(2025年時点・積層数次第でさらに増加) |
| 主要メーカー | (現在ほぼ撤退・旧世代品のみ) | Samsung・Kioxia・WD・Micron・SK Hynix・YMTC |
3D NANDの積層数競争と課題
2023〜2025年にかけてNANDメーカーは積層数で激しく競争しています。Samsung Vシリーズ290層・Micron 232層・SK Hynix 321層・Kioxia/WDは218層(BiCS 8)を量産し、中国YMTCも232層に到達しています。積層数が増えると深いホール(穴)エッチングが必要になり、エッチング精度・アスペクト比・チャネルホール側壁の均一性が難易度を決めます。また積層数増加でワードライン数が増え、読み出し動作時の電圧印加時間が伸び速度性能が課題になります。これを解決するため「多デッキ積層」(2〜4デッキを接合)の手法も採用されています。
PLC(5ビットセル)NANDとQLC・TLCの使い分け
3D NANDは1セルに蓄えるビット数でSLC(1bit)・MLC(2bit)・TLC(3bit)・QLC(4bit)・PLC(5bit)と分かれます。ビット数が増えるほど容量・コストで有利ですが、書き換え耐久性・速度が低下します。データセンター向けSSDはTLC(耐久性と容量のバランス)が主流ですが、コールドデータ長期保存用途ではQLC採用も増えています。Micronは2023年にPLC NANDをデータセンター向けに量産開始し、さらなる低コスト化を狙っています。