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MRAMとNANDフラッシュの違い(不揮発性メモリ比較)

MRAMとNANDフラッシュはいずれも電源を切ってもデータを保持する不揮発性メモリですが、データ保存の物理原理が根本的に異なります。NANDはフローティングゲートまたはチャージトラップに電荷を蓄えてデータを記録し、大容量・低コストでストレージに最適です。MRAMは磁気トンネル接合(MTJ)の磁化方向でデータを記録し、高速・高耐久・無制限書き換えが可能で、組み込みメモリや車載用途に注目されています。

最終更新: 2026-08-02

結論:MRAM(STT-MRAM)NANDフラッシュ(TLC/QLC)の違いは?

MRAMとNANDフラッシュの最大の違いは「データを保存する物理原理」です。MRAMは磁気トンネル接合(MTJ)の磁化方向で記録し、書き込み1〜10nsの高速性と事実上無制限(10¹²回以上)の書き換え耐久性を持つため、組み込みメモリや車載用途に向きます。NANDは電荷の蓄積で記録し、書き込みは100μs〜数ms、TLCの耐久は約3,000〜10,000回ですが、大容量・低コストでストレージに最適です。

比較表

MRAM(STT-MRAM)NANDフラッシュ(TLC/QLC)
MRAM(STT-MRAM)NANDフラッシュ(TLC/QLC)観点別比較
観点MRAM(STT-MRAM)NANDフラッシュ(TLC/QLC)
書き込み速度~1〜10ns(SRAMに近い高速)100μs〜数ms(ページ書き込み単位)
読み出し速度10〜30ns程度数十μs〜数ms
書き換え耐久性事実上無制限(10¹²〜10¹⁵回以上)TLC:約3,000〜10,000回、QLC:約1,000回
消費電力低スタンバイ電力、書き込みにパルス電流が必要高電圧書き込み(15〜20V程度のプログラム電圧)が必要
データ保持期間10年以上(−40〜150℃対応品あり)TLC:5〜10年(高温・多書き換え後は短縮)
放射線耐性高い(磁化方向は放射線に強い)低い(フローティングゲートへの電荷損失が発生)
セルビット密度NANDより低い(大容量ストレージには不向き)TLC:3bit/cell、QLC:4bit/cellで高集積
主な用途車載マイコン(eFlash代替)・IoT・ウェアラブル・産業機器SSD・スマートフォンストレージ・データセンター
代表製品・メーカーGlobalFoundries 22FDX eMRAM・Samsung eMRAM・EverspinSamsung・Kioxia・Western Digital・Micron・SK Hynix

eMRAM(組み込みMRAM)が車載・IoTで普及する理由

車載マイコンはフラッシュメモリ(eFlash)をコード格納に使うのが従来の主流でしたが、22nm以下のプロセスノードではeFlashの微細化が困難になっています。eMRAMは28nm〜22nm FDSOIなどのプロセスノードに統合しやすく、高温動作(150℃超)・高書き換え耐久性・放射線耐性でeFlashより優れます。ルネサスRH850などの次世代車載マイコン向けにeMRAM採用が進んでいます。

NANDフラッシュが当面ストレージ主流を維持する理由

MRAMは速度・耐久性で優れますが、ビットコストがNANDより高く大容量ストレージには向きません。3D NAND(200層超)による大容量化・低コスト化が進むNANDフラッシュは2030年代もSSD・データセンターストレージの主流を維持する見通しです。MRAMとNANDは用途で棲み分けが明確であり、競合より補完関係です。

関連ページ

MRAM(用語)
NANDフラッシュ(用語)
NAND vs DRAM 比較
3D NAND(用語)
FinFET vs FD-SOI 比較
GlobalFoundries企業詳細
Kioxia企業詳細

よくある質問

MRAMはいつからスマートフォンに搭載されますか?
現時点ではスマートフォンのメインストレージへの大規模採用は難しい状況です。ビットコストがNANDより高いため、大容量ストレージには不向きです。ただし一部IoTウェアラブルやArm Cortex-M系マイコンの組み込みメモリとしてeMRAMは既に採用実績があります。
SOT-MRAMとSTT-MRAMの違いは何ですか?
STT-MRAM(Spin Transfer Torque)は書き込み電流をMTJに直接流す方式で現在の主流です。SOT-MRAM(Spin-Orbit Torque)は書き込みと読み出しの電流路を分離し、さらに高速・低電流での書き込みが可能な次世代技術として研究が進んでいます。
MRAMは普通のフラッシュと交換可能ですか?
インターフェース互換品(NOR互換MRAM等)であれば交換可能な場合があります。ただし書き込みプロトコルや電圧が異なるため、設計変更なしの直接互換は製品による確認が必要です。

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