比較メモリ最終更新 2026-08-02

NOR FlashとNAND Flashの違い(フラッシュメモリ比較)

NOR FlashはメモリセルをNOR論理で並列接続しアドレス指定によるランダムバイトアクセスが可能で、マイコン(MCU)のファームウェア直接実行(XiP:eXecute in Place)に最適です。NAND FlashはセルをNAND論理で直列接続し、高密度・大容量・高速ページ書き込みを実現し、SSD・スマートフォンストレージ・USBメモリの主役です。両者はフラッシュメモリという共通技術を持ちながら、接続方式と用途が根本的に異なります。

結論

NOR FlashとNAND Flashの最大の違いは「セルの接続方式とアクセス単位」です。NORはセルを並列接続しビット線に直接アクセスできるため、約100nsでバイト単位のランダム読み出しができ、マイコンのファームウェア直接実行(XiP)に最適です。NANDはセルを直列接続しページ単位(256Byte〜16KB)でアクセスするためランダム読み出しは遅い(〜25μs/ページ)ものの、高密度・大容量・高速なページ書き込みでSSDやスマホストレージの主役となっています。

主な違い

NOR FlashとNAND Flashの観点別比較
観点NOR FlashNAND Flash
セル接続方式セルが並列接続(NOR論理)→ビット線に直接アクセス可能セルが直列接続(NAND論理)→ページ単位でアクセス
ランダム読み出し高速・バイト単位(バスアクセス時間:~100ns)遅い・ページ単位(~25μs/ページ)
書き込み速度低速(バイト・ワード単位)高速(ページ単位:256Byte〜16KB)
消去単位セクタ単位(64KB〜512KB)ブロック単位(128KB〜4MB)
書き換え耐久性高い(10万〜100万回)中程度(SLC:10万回、TLC:1000〜3000回)
ビット単価・密度高価・低密度(最大でも数Gb程度)安価・高密度(数GB〜数TB)
主な用途MCU・IoT機器のファームウェア格納・コードストレージ(XiP)SSD・eMMC・UFS・USBメモリ・スマートフォンストレージ
主要メーカーWinbond・Macronix・MicrochipSamsung・Kioxia・SK Hynix・Micron・Western Digital

XiP(eXecute in Place)とNOR Flashの優位性

NOR Flashの最大の強みは、CPUがROMのようにアドレスを直接指定してコードを読み出し実行できる「XiP(eXecute in Place)」機能です。マイクロコントローラ(MCU)・自動車ECU・産業用制御機器・医療機器ではファームウェアをNOR Flashに格納し、システム起動直後からRAMへのコードコピーなしに実行します。これにより起動時間の短縮・RAM容量の節約が可能で、リソース制約の厳しい組み込みシステムに不可欠な特性です。

NAND Flashの進化:3D NAND・TLC/QLC

NAND Flashは2D(平面)から3D(垂直積層)構造への移行により、ビット単価を急速に低下させてきました。現在の3D NANDは128〜300層以上積層したセルで構成され、1チップあたり1Tb超の容量を実現しています。セルの信号状態数によりSLC(1bit)・MLC(2bit)・TLC(3bit)・QLC(4bit)に分類され、QLC NANDはSSD向けに低コスト大容量を実現しますが書き換え耐久性は低くなります。2D vs 3D NANDの詳細は2d-nand-vs-3d-nandを、NAND vs DRAMの比較はnand-vs-dramを参照してください。

よくある質問

NOR FlashとNAND Flashの最大の違いは何ですか?
接続方式と得意な操作が異なります。NOR Flashはセルが並列接続されアドレス指定によるランダムバイトアクセスが高速なため、コードの直接実行(XiP)に最適です。NAND Flashはセルが直列接続され高密度・低コスト・高速ページ書き込みが可能なため、大容量ストレージ(SSD・eMMC等)に使われます。
MCU(マイコン)にはどちらのフラッシュが使われますか?
ほとんどのMCUにはNOR Flashが内蔵されています。NORのXiP特性により、MCUはリセット直後からフラッシュのコードを直接実行でき、RAMへのコードコピー時間が不要です。一方、OS搭載のIoTデバイス(Raspberry Pi等)ではNAND Flash(eMMC・UFS)が使われます。
NOR Flashは今後も使われ続けますか?
はい。車載・産業・医療の組み込み分野では信頼性・長寿命・XiP特性からNOR Flashは引き続き重要です。ただしMRAMなどの不揮発メモリ技術が低消費電力・高書き換え耐性でNOR代替として研究されており、中長期的な競合技術として注目されています。

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出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:NOR型フラッシュメモリ」(2026/10/10 確認)
  2. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:NAND型フラッシュメモリ」(2026/10/07 確認)