結論:NOR FlashとNAND Flashの違いは?
NOR FlashとNAND Flashの最大の違いは「セルの接続方式とアクセス単位」です。NORはセルを並列接続しビット線に直接アクセスできるため、約100nsでバイト単位のランダム読み出しができ、マイコンのファームウェア直接実行(XiP)に最適です。NANDはセルを直列接続しページ単位(256Byte〜16KB)でアクセスするためランダム読み出しは遅い(〜25μs/ページ)ものの、高密度・大容量・高速なページ書き込みでSSDやスマホストレージの主役となっています。
比較表
| 観点 | NOR Flash | NAND Flash |
|---|---|---|
| セル接続方式 | セルが並列接続(NOR論理)→ビット線に直接アクセス可能 | セルが直列接続(NAND論理)→ページ単位でアクセス |
| ランダム読み出し | 高速・バイト単位(バスアクセス時間:~100ns) | 遅い・ページ単位(~25μs/ページ) |
| 書き込み速度 | 低速(バイト・ワード単位) | 高速(ページ単位:256Byte〜16KB) |
| 消去単位 | セクタ単位(64KB〜512KB) | ブロック単位(128KB〜4MB) |
| 書き換え耐久性 | 高い(10万〜100万回) | 中程度(SLC:10万回、TLC:1000〜3000回) |
| ビット単価・密度 | 高価・低密度(最大4〜8GB程度) | 安価・高密度(数GB〜数TB) |
| 主な用途 | MCU・IoT機器のファームウェア格納・コードストレージ(XiP) | SSD・eMMC・UFS・USBメモリ・スマートフォンストレージ |
| 主要メーカー | Winbond・Macronix・Microchip | Samsung・Kioxia・SK Hynix・Micron・Western Digital |
XiP(eXecute in Place)とNOR Flashの優位性
NOR Flashの最大の強みは、CPUがROMのようにアドレスを直接指定してコードを読み出し実行できる「XiP(eXecute in Place)」機能です。マイクロコントローラ(MCU)・自動車ECU・産業用制御機器・医療機器ではファームウェアをNOR Flashに格納し、システム起動直後からRAMへのコードコピーなしに実行します。これにより起動時間の短縮・RAM容量の節約が可能で、リソース制約の厳しい組み込みシステムに不可欠な特性です。
NAND Flashの進化:3D NAND・TLC/QLC
NAND Flashは2D(平面)から3D(垂直積層)構造への移行により、ビット単価を急速に低下させてきました。現在の3D NANDは128〜300層以上積層したセルで構成され、1チップあたり1Tb超の容量を実現しています。セルの信号状態数によりSLC(1bit)・MLC(2bit)・TLC(3bit)・QLC(4bit)に分類され、QLC NANDはSSD向けに低コスト大容量を実現しますが書き換え耐久性は低くなります。2D vs 3D NANDの詳細は2d-nand-vs-3d-nandを、NAND vs DRAMの比較はnand-vs-dramを参照してください。