比較メモリ最終更新 2026-10-07

HBM3E vs HBM4:AI GPU向け高帯域幅メモリの世代比較

HBM3E(High Bandwidth Memory 3E)は2024〜2025年のAI GPU主流世代(NVIDIA H200・B200搭載)、HBM4は2025〜2026年量産開始の次世代規格です。帯域幅・スタック数・ベースダイ構造の改革により、AI学習・推論の性能ボトルネックを引き続き解消します。

結論

HBM3EとHBM4の最大の違いは「帯域幅とスタック段数」です。HBM3Eは9.6Gbps/pin・1スタック最大1.2TB/s・12H(12層)積層で、NVIDIA H200やB200に搭載される2024〜2025年の主流世代です。HBM4は16Gbps/pin・2.0TB/s以上・16H以上を目標とする次世代規格で、2025〜2026年の量産開始が計画されています。

主な違い

HBM3EとHBM4の観点別比較
観点HBM3EHBM4
JEDEC規格世代HBM3E(HBM3の拡張版)HBM4(新規格)
ピン帯域幅/スタック最大1.2TB/s(SK Hynix Shinebolt)最大2.0TB/s以上(目標値)
ピン速度9.6Gbps/pin16Gbps/pin(目標)
最大スタック段数12H(12層DRAM)16H以上(計画)
容量/スタック24GB(12H×2GB)32〜48GB(計画)
ベースダイDRAM同プロセスノードロジックダイに変更(TSMC/Samsungファブ委託)
主な採用GPUNVIDIA H200・B200・B100NVIDIA Rubin(2026年予定)・次世代AMD
供給メーカーSK Hynix(主力)・Micron・SamsungSK Hynix(先行)・Samsung・Micron(2026〜)
パッケージングTSMCのCoWoS-L(HBMスタック横配置)CoWoS-L拡張・新規インターポーザー対応
量産時期2024年Q1〜(SK Hynix先行)2025年下半期〜(SK Hynix先行量産)

HBM4の最大の変革:ベースダイのロジック化

HBM4で最も重要な変更点はベースダイ(底部のI/O制御ダイ)をDRAMプロセスからロジックプロセス(TSMC N5/N4やSamsung SF4等)で製造する点です。これによりGPU側のメモリコントローラーとHBMスタック内のロジックを直接統合でき、PHYインターフェース効率向上・電力削減・カスタム機能追加が可能になります。NVIDIA・AMDなどGPUメーカーが独自仕様のHBM4ベースダイをTSMC等に委託し、HBMメーカーと組み合わせる分業形態が新たに生まれます。

AI GPU開発ロードマップへの影響

NVIDIAはBlackwell(B200)でHBM3E×8スタック(最大192GB・8TB/s)を採用し、次世代Rubin(2026年)でHBM4への移行を計画しています。帯域幅の倍増によりGPU演算ユニットへのデータ供給ボトルネックが緩和し、LLM(大規模言語モデル)の学習・推論性能を直接向上させます。先端パッケージング(CoWoS)装置需要も増加し、ASMPT・Besiなどのボンダーメーカーへの恩恵も期待されます。

製造サプライチェーンの変化

HBM3EまでのベースダイはSK HynixやMicron自社ファブで製造されていましたが、HBM4のロジックベースダイはTSMC(N5/N4)・Samsung(SF4)への委託製造が計画されています。これはDRAMメーカーが先端ロジックプロセスを持たないためで、EUV露光装置・ALD装置など先端前工程装置の需要をさらに牽引します。

よくある質問

HBM3EとHBM3の違いは何ですか?
HBM3Eはlimited extension(拡張版)で、HBM3の基本アーキテクチャを維持しつつピン速度を6.4Gbps→9.6Gbpsに向上、スタック段数も8H→12Hに拡張しました。SK HynixはHBM3E「Shinebolt」でNVIDIA H200に先行供給、Micron・SamsungもHBM3E品を2024年中に量産開始しました。
HBM4はいつから量産されますか?
SK HynixがHBM4を2025年下半期に量産開始予定と発表しています(2025年5月時点)。Micron・Samsungは2026年の量産開始を計画しています。NVIDIAの次世代GPU「Rubin」プラットフォーム(2026年予定)への採用が最初の大型量産需要になると見られています。
HBMとGDDR6の違いは何ですか?
HBMはTSVで複数のDRAMダイを積層しインターポーザー経由でGPUに接続するため、超広帯域(HBM3Eで1.2TB/s)を実現しますが高コストです。GDDR6はグラフィックボードのカード上に配置する個別メモリチップで、帯域幅(1チップ当たり80GB/s程度)はHBMに劣りますが低コストです。AI学習向け高性能GPUにはHBM、ゲーミングGPUにはGDDRが主に採用されます。

あわせて読む


出典・参考資料

  1. Samsung Semiconductor「HBM」(2026/10/07 確認)
  2. SK hynix「HBM」(2026/10/07 確認)
  3. JEDEC「High Bandwidth Memory (HBM3) DRAM(JESD238)」(2026/10/07 確認)
  4. Micron Technology「HBM3E」(2026/10/10 確認)
  5. Samsung Semiconductor「HBM3E」(2026/10/10 確認)
  6. JEDEC「High Bandwidth Memory (HBM4) DRAM」(2026/10/10 確認)