結論:CPUとGPUの違いは?
CPUとGPUの最大の違いは「コアの数と設計思想」です。CPUは大型で複雑な制御回路を持つ高性能コアを4〜128個備え、逐次処理・条件分岐・OSやアプリ全般の汎用タスクを担い、大容量のL1/L2/L3キャッシュで遅延を最小化します。GPUは数千〜数万の小型コアで行列・テンソル演算を超並列実行し、HBM3やGDDR6Xで1〜3TB/sの帯域を確保します。AI学習の中核を担うのはGPUです。
比較表
| 観点 | CPU | GPU |
|---|---|---|
| コア数・構成 | 高性能コア4〜128個(大型・複雑な制御回路付き) | 数千〜数万の小型コア(CUDA Core・Streaming Multiprocessor等) |
| 得意な処理 | 逐次処理・条件分岐・OS/アプリ全般の汎用タスク | 行列演算・テンソル演算・画像処理などの超並列演算 |
| キャッシュ構成 | 大容量L1/L2/L3キャッシュ(遅延最小化重視) | 小容量だが高帯域のShared Memory・L2キャッシュ |
| メモリ接続 | DDR5・LPDDR5(帯域幅:100〜200GB/s級) | HBM3/GDDR6X(帯域幅:1〜3TB/s、AIサーバー向け) |
| TDP(熱設計電力) | 65〜350W程度(サーバー向け最大350W) | 300〜700W(NVIDIA H100 SXM:700W、B200:1000W超) |
| AI学習性能 | 補助的役割(データ前処理・スケジューリング) | 主役(H100:2000TOPS、B200:4500TOPS) |
| 製造プロセス例 | Intel Core Ultra(Intel 4nm)、AMD Ryzen(TSMC 4nm) | NVIDIA H100(TSMC 4nm)、AMD MI300X(TSMC 5nm) |
| 代表製品 | Intel Core Ultra・Xeon、AMD Ryzen・EPYC、Apple M-series | NVIDIA H100/B200、AMD Instinct MI300X、Intel Gaudi3 |
CPUとGPUの役割分担:ヘテロジニアスコンピューティング
現代のコンピューティングシステムでは、CPUとGPUを組み合わせた「ヘテロジニアス(異種)コンピューティング」が標準となっています。CPUはOSの管理・タスクスケジューリング・複雑なビジネスロジックを担い、GPU/NPUはAI推論・画像処理・科学計算など並列性の高いワークロードをオフロードして処理します。AIサーバーでは1台のサーバーにCPU×2+GPU×8という構成が一般的で、CPUとGPUをNVLink・PCIeで接続します。SoC(スマートフォン・組み込み)ではCPU・GPU・NPU・DSPを一体集積したヘテロジニアスSoCが主流です。
AI時代のGPUとNPU・ASICへの進化
ディープラーニングの台頭でGPUの市場価値が急騰し、NVIDIAの時価総額はIntelを大幅に上回る規模になりました。一方、Google(TPU)・Amazon(Trainium)・Microsoft(Maia)など主要クラウド企業は、GPU依存を減らしAI専用ASIC(AIアクセラレータ)の内製化を進めています。スマートフォンではGPUとは別にNPU(Neural Processing Unit)を専用AIコアとして搭載するSoCが標準化しており、Apple Neural Engine・Qualcomm HexagonがGPUより高いAI処理効率を実現しています。GPUとNPUの比較はgpu-vs-npuの記事、GPUとASICの比較はgpu-vs-asicの記事も参照してください。