GPU(Graphics Processing Unit)は、数千〜数万の小型演算コアを並列に配置し、行列演算・ベクトル演算を超高速で処理する半導体チップです。元来は3Dグラフィクスのレンダリング専用プロセッサとして開発されましたが、深層学習(Deep Learning)の訓練・推論に必要な大規模行列演算との親和性が極めて高く、AI時代の中核的な演算デバイスへと進化しています。
NVIDIA・AMD・Intelが主要なGPUサプライヤーです。NVIDIA H100(800億トランジスタ超、4nm、TSMC製)およびB200/B100は、データセンター向けAIアクセラレータ市場で80%超のシェアを持ちます。CUDA(Compute Unified Device Architecture)エコシステムを通じて深層学習フレームワーク(PyTorch・TensorFlowなど)との深い統合が図られており、ソフトウェア資産がNVIDIAの競争優位性を支えています。
GPU製造には最先端のロジックプロセス(3nm〜5nm)と高帯域幅メモリ(HBM)の組み合わせが不可欠です。NVIDIA H100はTSMC 4Nプロセス、HBM3を搭載し、メモリ帯域幅3.35TB/s・FP16演算性能989TFLOPSを実現しています。次世代B200ではTSMC 4NP2プロセスとHBM3eを採用し、推論性能はさらに向上します。
消費電力が増大するGPU(H100:700W、B200:1000W超)を支えるデータセンターインフラの電力需要も急拡大しており、GaN・SiCパワーデバイス、液冷システム(Direct Liquid Cooling)、電源管理IC(PMIC)の需要増加に直結しています。NVIDIAが1四半期にTSMCへ発注するウェハ量はEUV露光装置の稼働率を直接左右するほどの規模になっています。
AI推論のエッジ展開では、モバイルGPU(Qualcomm Adreno、Apple GPU)やNPU内蔵SoC、専用AIアクセラレータ(Google TPU、Amazon Trainium/Inferentia)との競合・補完関係も進んでいます。GPU向けHBMの主要サプライヤーはSK Hynix(シェア約50%)、Samsung、Micronの3社で、HBMの供給制約がGPU全体の出荷量を制限する構図が続いています。