SEMICONDUCTOR BASICS — 比較記事

SiCとGaN パワー半導体の違い

SiC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)はともにシリコンを超えるワイドバンドギャップ半導体ですが、得意な電圧域・周波数帯・用途が異なります。SiCは高耐圧・高温動作が強みでEV主駆動インバーターに主流採用、GaNは高速スイッチングと低オン抵抗で充電器・5G基地局・データセンター電源に最適です。

最終更新: 2026-08-17

結論:SiC(炭化ケイ素)GaN(窒化ガリウム)の違いは?

SiCとGaNの最大の違いは「得意な耐圧域と周波数帯」です。SiCは650V〜10kV(主流は1200〜1700V)の高耐圧と高温動作に強く、EVの主駆動インバーターで主流採用されています。GaNは100V〜650V(主流は650V以下)の低耐圧域でオン抵抗が非常に低く、数MHz〜数十MHzの超高速スイッチングが可能なため、急速充電器・5G基地局・データセンター電源に最適です。

比較表

SiC(炭化ケイ素)GaN(窒化ガリウム)
SiC(炭化ケイ素)GaN(窒化ガリウム)観点別比較
観点SiC(炭化ケイ素)GaN(窒化ガリウム)
バンドギャップ3.26eV(Siの約3倍)3.4eV(Siの約3倍)
主な耐圧域650V〜10kV(主流は1200〜1700V)100V〜650V(主流は650V以下)
スイッチング速度高速(数百kHz)超高速(数MHz〜数十MHz)
オン抵抗(比較)低い(高耐圧域ではGaNより有利)非常に低い(低耐圧域でSiCより有利)
耐熱温度200℃以上(高温環境に強い)〜150℃程度(SiCより低め)
基板材料SiCバルクウェハ(高コスト)Si基板上GaN(GaN-on-Si)が主流・低コスト
主な用途EV主駆動インバーター、産業機器、鉄道EV急速充電器、データセンター電源、5G、家電
ウェハコスト高(150mm品が主流、200mmへ移行中)低(Si基板流用、200〜300mm対応)
主要メーカーWolfspeed・ローム・Infineon・STMicro・三菱電機GaN Systems・Infineon・MACOM・EPC・テキサスインスツルメンツ
市場規模(2025年予測)約30億ドル超(急拡大中)約20億ドル(急拡大中)

なぜEV主駆動にSiCが選ばれるのか

EV主駆動モーター向けインバーターは400〜800V系統で動作し、数百アンペアの電流を扱います。SiCはこの耐圧帯でのオン抵抗がSiより大幅に低く、スイッチング損失も小さいため、バッテリー〜モーター間の変換効率向上(航続距離5〜10%改善)に直結します。Tesla Model 3(ローム製SiC採用)が市場を開拓し、現在はBYD・トヨタ・現代も採用を拡大しています。

GaNが急速充電器・データセンターに浸透する理由

GaNはスイッチング周波数を数MHz以上に高められるため、変圧器・コンデンサを大幅に小型化できます。65W〜140W級のノートPC・スマホ充電器でGaN採用品が急増しており、従来Siチップ比で体積を50〜70%削減します。データセンターのPSU(電源ユニット)でも48V→12V変換にGaN採用が進み、電力密度向上によるラック冷却コスト削減に貢献しています。

製造プロセスとサプライチェーンの違い

SiCデバイスはSiCエピタキシャル成長→イオン注入(高エネルギー・高温アニール)→酸化膜形成という特殊プロセスが必要です。SiCウェハはII-VI(Wolfspeed分社)・ローム・昭和電工(現レゾナック)が供給します。GaN-on-SiはSiファブ転用が可能でTSMCもGaN受託に参入しており、製造コスト低下が続いています。

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よくある質問

SiCとGaNはどちらが将来性がありますか?
用途が異なるため「どちらか一方」という関係ではありません。高耐圧・高温が要求されるEV主駆動・産業インバーターはSiCが優位を維持、一方で充電器・電源・高周波用途はGaNが急速に普及します。両者合計で2030年に100億ドル超の市場が想定されており、共存成長が続く見通しです。
なぜSiCウェハはGaNより高価なのですか?
SiCは天然には存在せず、1400℃以上での昇華法(Lely法)により製造されるため結晶成長に時間がかかります。また硬度が高くダイヤモンド並みの硬さのため加工コストが高い。対してGaN-on-Siは既存の200〜300mmシリコンウェハ上にエピ成長できるためコストが大幅に安くなります。
日本のSiC・GaN半導体メーカーは?
SiCはロームが国内最大手でSiCエピウェハから完成デバイスまで一貫生産。三菱電機・富士電機・東芝デバイスも産業・鉄道向けで強みを持ちます。GaNは住友電気工業・古河電気工業が化合物半導体材料で世界的地位を持ちます。

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