東京エレクトロンとApplied Materialsの違い

東京エレクトロン(TEL)とApplied Materials(AMAT)は、ASML、Lam Research、KLAと並ぶ世界の半導体製造装置メーカー上位5社に数えられます。どちらも露光装置以外の前工程装置を幅広く手がける「総合メーカー」としてひとくくりにされがちですが、製品ごとに見ると強みの分布ははっきり異なります。ここでは事業規模と装置ポートフォリオを比べ、どこで棲み分け、どこで競合しているのかを整理します。

最終更新: 2026-09-14

結論:東京エレクトロン(TEL)Applied Materials(AMAT)の違いは?

最大の違いは「同じ総合装置メーカーでも、強い装置の組み合わせが違う」ことです。Applied Materials(米国)は売上規模で世界最大級の装置メーカーで、PVD・CVD・エピタキシーなどの成膜、CMP、イオン注入、電子線によるレビュー・検査まで幅広い工程を持ち、特に配線の成膜とCMP、イオン注入で強い地位にあります。東京エレクトロン(日本)はEUV向けを含む塗布現像装置(コータ/デベロッパ)で圧倒的なシェアを持ち、絶縁膜エッチング、縦型炉による熱処理・成膜、洗浄、ウェハプローバでも存在感があります。塗布現像とCMP・イオン注入では両社が重ならない一方、エッチングと成膜では真っ向から競合しています。

比較表

東京エレクトロン(TEL)Applied Materials(AMAT)
東京エレクトロン(TEL)Applied Materials(AMAT)観点別比較
観点東京エレクトロン(TEL)Applied Materials(AMAT)
本社日本・東京都港区米国・カリフォルニア州サンタクララ
設立1963年1967年
売上規模の目安約2.4兆円(2025年3月期)約284億ドル(2025年10月期)
看板となる装置塗布現像装置(コータ/デベロッパ)PVDを中心とする成膜装置、CMP装置
エッチング絶縁膜エッチングに比較的強い導体エッチングを中心に展開
成膜縦型炉(熱処理・CVD・ALD)、枚葉CVD・ALDPVD・CVD・ALD・エピタキシーを網羅
洗浄枚葉・バッチ洗浄装置を持つ主力事業ではない
CMP・イオン注入手がけていないいずれも主要サプライヤー
検査・テストウェハプローバ(ウェハテスト)電子線によるレビュー・検査装置
露光装置手がけていない(露光装置と連結する塗布現像装置を供給)手がけていない(露光後のパターン検査・計測装置を供給)

得意装置は意外なほど重ならない

総合装置メーカーとして並べられる両社ですが、装置ごとに見ると強みの分布は補完的です。TELの看板は、露光装置と連結してレジストの塗布と現像を行う塗布現像装置で、EUV露光向けではほぼ独占的な地位にあります。AMATはこの分野を手がけていません。逆に、AMATが大きなシェアを持つCMP装置とイオン注入装置を、TELは持っていません。配線工程でもAMATはバリアメタルや銅シードを形成するPVDで強く、TELは縦型炉を使った熱処理・成膜で長い実績があります。同じ前工程でも、両社が得意とする工程は別の場所に分布しています。

真っ向から競合するエッチングと成膜

両社が正面からぶつかるのはエッチングと成膜です。エッチングではLam Researchを含めた3社が市場の大半を占め、TELは酸化膜や窒化膜を削る絶縁膜エッチングに、AMATはシリコンやメタルを削る導体エッチングに比較的強いという色分けがあります。成膜ではCVD・ALDで両社にLam ResearchやASM Internationalが加わり、GAAトランジスタや3D NANDで新たに必要になる膜ごとに採用を争っています。先端ノードで工程数が増える領域ほど競争が激しく、ここでの採用状況が両社の業績を左右します。

撤回された経営統合

両社は2013年に経営統合を発表しました。実現すれば世界最大の装置メーカーが誕生する計画でしたが、米国司法省が競争上の懸念を示し、2015年に統合は撤回されました。エッチングや成膜など両社が競合する工程で、統合によって顧客の選択肢が狭まる点が問題視されたためです。この経緯は、両社の製品が補完的である一方で、主要な工程では強く競合していることを示しています。AMATはその後、2019年に日本の成膜装置メーカーKOKUSAI ELECTRIC(当時の国際電気)の買収を発表しましたが、中国当局の承認が得られず2021年に断念しています。

事業構造の違い

AMATは半導体製造装置に加え、装置の保守・部品・アップグレードを担うサービス事業と、ディスプレイ製造装置の事業を持ちます。TELも半導体製造装置が売上の大半を占め、フラットパネルディスプレイ製造装置の事業と、保守・改造を担うフィールドソリューション事業を持つ構成です。両社とも中国向け売上の比率が高く、米国の輸出規制強化の影響を受けやすい立場にある点は共通しています。決算期はTELが3月、AMATが10月下旬で、同じ「2025年度」でも対象期間が半年以上ずれる点に注意が必要です。

まとめ(どう見比べるか)

両社を比べるときは、会社全体の売上よりも「どの工程の装置で強いか」を見るのが実態に合っています。リソグラフィ周辺の塗布現像、絶縁膜エッチング、熱処理ならTEL、配線の成膜・CMP・イオン注入ならAMATが中心的なサプライヤーです。エッチングとCVD・ALDは両社にLam Researchを加えた競争領域で、ノードごと・工程ごとに採用が分かれます。

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よくある質問

東京エレクトロンとApplied Materialsはどちらが大きいですか?
売上規模ではApplied Materialsが上回ります。AMATの2025年10月期の売上高は約284億ドル、TELの2025年3月期の売上高は約2.4兆円で、為替にもよりますがAMATがTELの1.5倍以上の規模です。ただし決算期が異なるため、厳密に比べるには期間をそろえる必要があります。
両社は露光装置を作っていますか?
どちらも露光装置は作っていません。露光装置はASML、ニコン、キヤノンの分野です。TELは露光装置とつないで使う塗布現像装置を、AMATは露光後のパターンを検査・計測する装置を手がけています。
エッチング装置ではどちらが強いですか?
エッチング装置市場ではLam Researchが最大手で、TELとAMATがそれに続きます。一般にTELは絶縁膜エッチング、AMATは導体エッチングに比較的強いとされ、工程によって位置づけが異なります。
両社の経営統合はなぜ実現しなかったのですか?
2013年に発表された経営統合は、米国司法省がエッチングや成膜などの市場で競争が損なわれると懸念を示したため、2015年に撤回されました。

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