最終更新 2026-10-19

アッシングとは

Ashing

アッシングとは、エッチングやイオン注入を終えた後、役目を終えたフォトレジストを酸素プラズマで除去する工程です。有機物であるレジストを酸化・分解してCO₂やH₂Oなどの揮発性ガスに変え、排気して取り除きます。レジストストリッピングとも呼ばれ、薬液による湿式剥離と組み合わせて残渣を完全に落とします。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 製造工程フローでの位置
  3. 図解
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

アッシングはO₂プラズマでフォトレジストをCO₂・H₂Oに酸化分解して除去するドライプロセス。SPMウェットストリッピングとの使い分け、ダウンストリーム(リモートプラズマ)方式、Low-kダメージ防止のH₂/N₂プロセスをわかりやすく解説。

アッシング(Ashing)とは、フォトリソグラフィ工程でウェハに塗布したフォトレジスト(感光性樹脂)を、エッチングや注入工程が終わった後に除去するプロセスです。酸素(O₂)プラズマをレジストに当てることで、有機物であるレジストを酸化・燃焼させてCO₂・H₂Oなどの揮発性ガスに分解し、チャンバー内から排気除去します。「レジストストリッピング(Resist Stripping)」とも呼ばれます。

アッシングの原理は、O₂(または O₂/CF₄・N₂H₂などの混合ガス)をプラズマ化して生成した酸素ラジカル(O・)と活性酸素イオンがレジスト(主にノボラック樹脂・化学増幅レジスト等の有機ポリマー)と反応し、炭素骨格を酸化してCO₂・H₂Oに分解します。反応温度は150〜300°C程度で、プラズマパワーと温度を調整して金属・絶縁膜へのダメージを最小化します。

アッシングの方式には「ダウンストリームアッシング(リモートプラズマ)」と「インシトゥアッシング」があります。ダウンストリームアッシングでは、プラズマ生成チャンバーと処理チャンバーを分離し、ラジカルのみ(イオン除去)をウェハに照射するため、デバイス損傷(プラズマダメージ)を低減できます。イオン注入後の硬化レジスト(改質レジスト)の除去には高エネルギーのインシトゥアッシングが効果的です。

アッシングとウェットストリッピング(SPM処理:H₂SO₄+H₂O₂混合液)の使い分けが重要です。アッシングはドライプロセスで環境負荷が低く、微細パターン向きですが、イオン注入でシェル化したレジスト(表面が硬化・クロスリンク)の完全除去には不十分な場合があります。その場合はアッシング後にウェットストリッピング(SPM)で残渣・金属汚染を除去する2ステップ方式が一般的です。

先端プロセスでのアッシングの課題は、Low-k絶縁膜(比誘電率<3.0)へのプラズマダメージです。Low-k膜(SiOC・SiOF等)は多孔質構造のため、酸素ラジカルが浸透してSi-CH₃結合を切断し誘電率を上昇させる「Low-kダメージ」が発生します。これを防ぐためH₂/N₂混合プラズマ(Forming gasアッシング)や低温プロセスが採用されています。主要アッシング装置メーカーはApplied Materials(Radiance)・Lam Research・TEL(Relius)です。

製造工程フローでの位置

アッシングは全21ステップのうち STEP 9 にあたります(青枠)。

前工程(ウェハプロセス)後工程(組立・実装・テスト)01シリコンウェハの準備02エピタキシャル成長03↻洗浄04熱酸化05↻成膜06↻レジスト塗布07↻露光(リソグラフィ)08↻エッチング09↻アッシング(レジスト除去)10イオン注入11アニール(活性化熱処理)12↻CMP(平坦化)13↻配線形成(ダマシン)14↻ウェハ検査・計測15ウェハテスト(プロービング)16ウェハ薄化(裏面研削)17ダイシング18ダイボンディング19ワイヤボンディング20モールディング(封止)21最終テスト
↻ は配線などの層の数だけ繰り返す工程です。各工程をクリックすると用語解説へ進みます。

図解

アッシングによるレジスト除去の流れ(工程完了・酸素プラズマ・排気・ウェット洗浄)
レジストストリップとも呼ぶ。ドライのアッシングとウェットの剥離を組み合わせる。

よくある質問(FAQ)

アッシングとレジスト剥離(ストリッピング)は同じですか?
広義には同じ目的ですが、アッシングは酸素プラズマによる乾式除去、剥離は薬液による湿式除去を指すのが一般的です。実際の工程では、まずアッシングで大部分を除去し、その後の薬液洗浄で残渣や金属汚染を落とす二段構えが標準です。
なぜ酸素プラズマを使うのですか?
レジストが炭素・水素・酸素からなる有機物なので、酸素ラジカルで酸化させるとCO₂・CO・H₂Oといった揮発性のガスに分解でき、そのまま真空排気で除去できるからです。固形の残渣を残さずに処理できる点が利点です。
アッシングで注意すべき点は何ですか?
酸素プラズマが下地の膜を酸化させたり、low-k絶縁膜にダメージを与えて誘電率を上げてしまうことです。またイオン注入後の高ドーズレジストは表面が硬化していて除去が難しいため、条件の作り込みが必要になります。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

ZETA™+東京エレクトロン(TEL)・バッチ洗浄装置
SUPRA VplusPSK Holdings・アッシング装置(レジスト灰化)
Suprema®Mattson Technology・アッシング装置(レジスト灰化)
Luminous NA シリーズULVAC(アルバック)・アッシング装置(レジスト灰化)
GAMMA®Lam Research・アッシング装置(レジスト灰化)
PC-300サムコ(SAMCO)・プラズマクリーナー(後工程)

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日立ハイテク日本ジュソンエンジニアリング(Jusung Engineering)韓国オックスフォード・インストゥルメンツ英国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン(TEL)「ZETA™+ 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. PSK Holdings「SUPRA Vplus 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. Mattson Technology「Suprema® 製品ページ」(2026/10/07 確認)