アッシングはO₂プラズマでフォトレジストをCO₂・H₂Oに酸化分解して除去するドライプロセス。SPMウェットストリッピングとの使い分け、ダウンストリーム(リモートプラズマ)方式、Low-kダメージ防止のH₂/N₂プロセスをわかりやすく解説。
アッシング(Ashing)とは、フォトリソグラフィ工程でウェハに塗布したフォトレジスト(感光性樹脂)を、エッチングや注入工程が終わった後に除去するプロセスです。酸素(O₂)プラズマをレジストに当てることで、有機物であるレジストを酸化・燃焼させてCO₂・H₂Oなどの揮発性ガスに分解し、チャンバー内から排気除去します。「レジストストリッピング(Resist Stripping)」とも呼ばれます。
アッシングの原理は、O₂(または O₂/CF₄・N₂H₂などの混合ガス)をプラズマ化して生成した酸素ラジカル(O・)と活性酸素イオンがレジスト(主にノボラック樹脂・化学増幅レジスト等の有機ポリマー)と反応し、炭素骨格を酸化してCO₂・H₂Oに分解します。反応温度は150〜300°C程度で、プラズマパワーと温度を調整して金属・絶縁膜へのダメージを最小化します。
アッシングの方式には「ダウンストリームアッシング(リモートプラズマ)」と「インシトゥアッシング」があります。ダウンストリームアッシングでは、プラズマ生成チャンバーと処理チャンバーを分離し、ラジカルのみ(イオン除去)をウェハに照射するため、デバイス損傷(プラズマダメージ)を低減できます。イオン注入後の硬化レジスト(改質レジスト)の除去には高エネルギーのインシトゥアッシングが効果的です。
アッシングとウェットストリッピング(SPM処理:H₂SO₄+H₂O₂混合液)の使い分けが重要です。アッシングはドライプロセスで環境負荷が低く、微細パターン向きですが、イオン注入でシェル化したレジスト(表面が硬化・クロスリンク)の完全除去には不十分な場合があります。その場合はアッシング後にウェットストリッピング(SPM)で残渣・金属汚染を除去する2ステップ方式が一般的です。
先端プロセスでのアッシングの課題は、Low-k絶縁膜(比誘電率<3.0)へのプラズマダメージです。Low-k膜(SiOC・SiOF等)は多孔質構造のため、酸素ラジカルが浸透してSi-CH₃結合を切断し誘電率を上昇させる「Low-kダメージ」が発生します。これを防ぐためH₂/N₂混合プラズマ(Forming gasアッシング)や低温プロセスが採用されています。主要アッシング装置メーカーはApplied Materials(Radiance)・Lam Research・TEL(Relius)です。