エッチングはレジストパターンをマスクに薄膜を選択除去するプロセス。ドライエッチング(プラズマ:RIE/ICP/CCP)とウェットエッチング(薬液)の違い、選択比・異方性の概念、Lam Research・TEL・Applied Materialsの装置をわかりやすく解説。
エッチング(Etching)とは、半導体製造の前工程において、フォトリソグラフィで形成したレジストパターンをマスクとして、その下の薄膜(シリコン・酸化膜・窒化膜・金属膜など)を選択的に除去するプロセスです。成膜・露光と並んで半導体製造の三大基本プロセスの一つであり、トランジスタや配線パターンの実際の「形」を作り出す工程です。
エッチングは大きく「ドライエッチング」と「ウェットエッチング」の2種類に分類されます。ドライエッチングはプラズマを使った気相処理で、ウェハに対して垂直方向への異方性(指向性)エッチングが可能です。ウェットエッチングは薬液による等方性(全方向均等)エッチングで、等方性の特性から微細パターン形成よりも酸化膜除去・洗浄・選択エッチングに多用されます。現代の先端プロセスではドライエッチングが主力で、ウェットエッチングは補助的に使われます。
エッチングの性能を表す主要指標として「選択比(Selectivity)」「異方性(Anisotropy)」「エッチング速度(Etch Rate)」「均一性(Uniformity)」があります。選択比はエッチングしたい材料とそれ以外(マスク・下地)のエッチング速度の比で、高いほど精密な加工が可能です。異方性は縦方向と横方向のエッチング速度の差であり、ドライエッチング(特にRIE)では縦方向を優先できるため垂直な壁面形状(側壁)が得られます。
半導体製造でのエッチングの具体的な用途には、ゲート電極パターニング(poly-SiゲートのRIE)、コンタクトホール・ビアホール形成、STI(浅溝素子分離)トレンチ加工、銅ダマシン配線のトレンチ/ビア形成、3D NANDのチャネルホール(高アスペクト比)形成、FinFETのフィン形成、GAAナノシートのSiGe選択除去などがあります。ノードが微細化するほどエッチング工程の数・精度要求は増加し、2nm以下では原子層エッチング(ALE)の採用も進んでいます。
エッチング装置の主要メーカーは、Lam Research(ランリサーチ:KiyoシリーズやFlexシリーズでドライエッチング世界最大シェア約40%)、東京エレクトロン(TactrasシリーズやCertas)、Applied Materials(Centris・Producer Etch)、SPTS(英国)です。エッチング装置市場は半導体製造装置市場の中でも最大セグメントの一つです。