プラズマ(Plasma)とは、気体が高エネルギー状態に達して電子と陽イオンに電離した「物質の第4の状態」であり、半導体製造においてエッチング・成膜・クリーニング・表面改質など多くの工程の基盤技術となっています。RF(高周波)電力や電子サイクロトロン共鳴(ECR)によって低圧(1Pa〜数百Pa)のガスを電離させ、反応性の高いラジカルとイオンをウェハ表面に供給します。
半導体製造でプラズマが活用される主な工程は次のとおりです。①プラズマエッチング(ドライエッチング):CF₄・Cl₂・HBrなど反応性ガスのプラズマで膜材料を選択的に除去します。②プラズマCVD(PECVD):SiH₄・N₂O・NH₃などのガスをプラズマ分解して低温で薄膜を堆積します。③プラズマALD:ALD工程のパージ・反応ステップにプラズマを使い、低温・高品質な原子層成膜を実現します。④プラズマクリーニング:チャンバー内堆積物の除去やウェハ表面の有機汚染除去に使われます。
プラズマ生成の代表的な方式として「CCP(容量結合型プラズマ)」と「ICP(誘導結合型プラズマ)」があります。CCP(Capacitively Coupled Plasma)は対向電極間にRF電力を印加するシンプルな構造で、イオンエネルギーとプラズマ密度の独立制御が可能な「デュアルフリケンシーCCP」が主流です。ICP(Inductively Coupled Plasma)はRFコイルの誘導電磁界でプラズマを生成し、高密度プラズマ(10¹¹〜10¹²cm⁻³)を低圧で実現できるため、高アスペクト比エッチングや原子層エッチング(ALE)に適します。
プラズマ制御の精度は微細化とともに厳しくなっています。先端ロジック(GAA/FinFETゲート加工、EUVハードマスクエッチなど)では、イオン入射角・エネルギー分布・ラジカルフラックスの均一性が歩留まりに直結します。プラズマ診断技術(OES:発光分光、QMS:四重極質量分析)によるリアルタイム終点検出(EPD)と、機械学習を用いたプロセス最適化が標準化されつつあります。
プラズマ関連装置市場はLam Research・Applied Materials・Tokyo Electron(TEL)の3社が世界の前工程装置市場の50%超を占めます。特にLam Researchはエッチング装置市場でシェア約39%を持ちます。プラズマを使わない「熱ALD」「ウェットエッチング」などが代替手段として存在する一方、プラズマの持つ低温処理・高速反応・選択性の高さから、先端プロセスでの重要性は今後も増し続けると見られています。