リモートプラズマ源(RPS)は、プロセスチャンバーの外側に設けた別室でプラズマを生成し、そこで作ったラジカルだけをチャンバーへ導入する装置部品です。イオンや紫外線をチャンバーへ持ち込まずに化学反応種だけを供給できるため、低ダメージの表面処理と、効率的なチャンバークリーニングを両立できます。
最大の用途はチャンバーの残膜クリーニングです。CVD・PECVDでは、チャンバー壁やシャワーヘッドに堆積した膜を定期的に除去する必要があります。従来はチャンバー内でCF₄などのプラズマを立てていましたが、RPSではNF₃を外部で解離してフッ素ラジカル(F)だけを送り込むため、分解効率が高く、装置内部品へのダメージも小さく抑えられます。
RPSは環境負荷の面でも重要です。NF₃をRPSで解離させると分解率が非常に高くなり、未反応のまま排出される温室効果ガスを大幅に減らせます。PFC排出削減はデバイスメーカーの脱炭素目標に直結するため、RPSの採用と除害装置の高効率化はセットで語られます。
クリーニング以外の用途としては、フォトレジストのアッシング(酸素ラジカルによる除去)、自然酸化膜の除去(NF₃/NH₃系のドライケミカル処理)、成膜前の表面前処理などがあります。いずれもイオン衝撃によるダメージを避けたい工程で、下地への損傷を抑えながら化学的に反応させる点が共通しています。
プラズマ生成方式は、トロイダル型(誘導結合)とマイクロ波型が主流です。主要メーカーはMKS Instruments(ASTRONシリーズ)・Advanced Energy・Applied Materialsなどで、成膜装置メーカーがモジュールとして組み込む形で供給されます。