コンタクト形成(Contact Formation)とは、シリコントランジスタのソース/ドレイン/ゲート電極と上層の金属配線を電気的に接続するための垂直導電構造(コンタクトプラグ)を形成するプロセスである。FEOL(前工程)とBEOL(後工程配線)の境界に位置するこの工程は、トランジスタ性能を引き出す上で極めて重要であり、コンタクト抵抗の低減が先端ノードにおける主要な技術課題のひとつとなっている。
コンタクト形成の標準工程は、①層間絶縁膜(ILD)成膜、②フォトリソグラフィーとドライエッチングによるコンタクトホール開口、③シリコン表面の自然酸化膜除去(フッ酸洗浄等)、④バリアメタル(TiN等)成膜、⑤タングステン(W)CVDによる充填、⑥CMP平坦化、で構成される。タングステンはその高融点と優れた充填性からコンタクトプラグ材料として長く標準とされてきた。
コンタクト抵抗(Rc)はトランジスタのオン抵抗に大きく寄与し、特にソース/ドレインの不純物濃度とコンタクト界面の金属−シリコン系(シリサイド)の特性に依存する。SALICIDEプロセスで形成されるNiSiやTiSiがコンタクト抵抗低減に貢献するが、3nm以下のノードではシリサイドの薄膜化・局所変動が問題となる。
5nm以下の先端プロセスでは、タングステンからルテニウム(Ru)やモリブデン(Mo)へのコンタクト材料置換が進んでいる。TSMCのN3/N2プロセスやIntel 18Aでは、より低抵抗のコンタクト材料と新しい界面処理技術が採用されている。Applied Materialsは次世代コンタクト向けのALD(原子層堆積)ベースのソリューションを提供している。
GAA構造のナノシートトランジスタでは、コンタクトが複数の積層チャネルと接続する必要があるため、三次元的なコンタクト形成技術が求められる。Buried Power Rail(BPR)技術との組み合わせにより、コンタクト構造はさらに複雑化しており、プロセス余裕度(マージン)の確保とコンタクト抵抗の低減が同時に求められるフロンティア技術領域となっている。