デュアルダマシン(Dual Damascene)とは、半導体チップの多層配線形成において、配線溝(Trench)とビアホール(Via)を同一の金属充填工程で一括して作製する製造プロセスである。銅(Cu)配線プロセスの主流技術であり、シングルダマシン(配線とビアを別々に形成)に比べて工程数削減とコスト低減を実現する。IBMが1997年に実用化して以来、先端ロジックチップの後工程配線(BEOL)で広く採用されている。
デュアルダマシンの基本工程は、①Low-k絶縁膜の成膜、②ビア/トレンチのリソグラフィー&エッチング、③バリアメタル(TaN/Ta)成膜、④銅シード層スパッタ、⑤電解めっきによる銅充填、⑥CMPによる表面平坦化、で構成される。「Via-First」「Trench-First」「Self-Aligned」など複数のプロセス順序変形があり、ノードや設計によって使い分けられる。
デュアルダマシンの課題は配線の微細化にある。10nm以下のノードでは、銅のサイズ効果(電気抵抗率の増大)とバリアメタル体積比率の増大が配線抵抗を押し上げる。このため、バリアレス銅配線やルテニウム(Ru)・モリブデン(Mo)などの代替金属への置換が研究されている。Applied Materialsは低抵抗配線向けの新世代CVD/PVD装置を積極的に展開している。
EUVリソグラフィーとの組み合わせによりデュアルダマシンのビア・トレンチパターンの解像度は向上しているが、EUV確率論的ノイズに起因するパターン欠陥(ブリッジ、断線)が新たな課題となっている。またドライフィルムレジストのEUV対応が進む中、エッチング選択性の最適化も継続的な研究対象である。
2nm世代以降では、SiO₂系のLow-k材料に代わり、Air Gap(空気層)を配線間絶縁に使うAir Gap配線や、EUV Self-Aligned Via技術が注目されている。Lam Research・TELはデュアルダマシン向けエッチング・CMP装置で高い市場シェアを持つ。デュアルダマシン技術の進化はチップ性能・消費電力・歩留まりに直結する重要技術領域である。