メタルCMPとは、金属膜を研磨対象とするCMP工程の総称で、銅ダマシン配線の余剰Cu除去(Cu-CMP)と、コンタクトプラグのタングステン除去(W-CMP)が二大用途です。絶縁膜を削る酸化膜CMPと違い、金属を化学的に酸化させてから機械的に削るという二段構えの反応を利用します。
Cu-CMPの原理は、スラリー中の酸化剤(H₂O₂など)が銅表面を酸化物や錯体に変え、その軟らかい変質層を砥粒が削り取るというものです。同時に、ベンゾトリアゾール(BTA)などの腐食防止剤が凹部の銅表面に保護膜を作り、化学的な溶解(等方的なエッチング)を抑えます。凸部では砥粒が保護膜を機械的に剥がすため、凸部だけが選択的に削られて平坦化が進みます。
工程は通常2ステップ以上に分けます。第1ステップで厚い余剰Cuを高いレートで削り、第2ステップ(バリアCMP)で残りのCuとバリアメタル(TaN/Ta)、そして必要に応じて下地の絶縁膜を低いレートで慎重に削って終点を合わせます。バリアメタルとCu、絶縁膜のそれぞれに対する選択比の設計が、ディッシングとエロージョンの量を決めます。
W-CMPはタングステンプラグの形成に使われます。WはCVDで全面に成膜されるため、コンタクトホール以外の余剰Wを削り落として、ホール内にだけプラグを残します。スラリーは酸性で強い酸化剤を含み、下地のTiNバリアと絶縁膜との選択比を取りながら研磨します。Wは硬い金属であり、研磨屑がスクラッチを引きやすい点にも注意が必要です。
メタルCMPに固有の欠陥が、ディッシング(幅広配線の中央が凹む)とエロージョン(配線密集部が全体的に低くなる)、そして銅の腐食・ボイドです。これらは後続の配線層のリソグラフィ焦点余裕や配線抵抗に直結するため、スラリー・パッド・圧力・終点検出を組み合わせて抑え込みます。研磨後は必ずポストCMP洗浄で残留スラリーと銅イオンを除去します。