位相シフトマスク(PSM:Phase Shift Mask)は、フォトマスクの一部を通る光の位相を180°ずらすことで、隣り合う開口を通った光どうしを干渉(打ち消し合い)させ、パターンのコントラストと解像度を高める解像度向上技術(RET)の一つです。通常の遮光だけのマスクより、より微細なパターンを転写できます。
代表的な方式に、隣接開口で位相を交互に反転させる交互位相シフト(Alt-PSM、Levenson型)と、遮光部をわずかに透過させつつ位相を反転させるハーフトーン(減衰)位相シフト(EAPSM)があります。前者は解像度向上効果が大きく、後者は適用しやすさから広く使われます。
位相シフトマスクは、OPC(光近接効果補正)や斜入射照明(off-axis illumination)などの他のRETと組み合わせて使われ、ArFなどのDUV露光の解像限界を引き上げてきました。EUV登場後も、成熟〜中先端ノードのDUV工程で重要な技術です。
マスクの製造には高精度な電子線描画と検査が必要で、Nuflare(描画装置)やToppan・大日本印刷・HOYA(マスクメーカー)などが関わります。photomaskやopc、reticle、mask-blankの各項とあわせて読むと、リソグラフィにおける解像度向上の全体像が理解できます。