DUV(Deep UV:深紫外線)はArF(193nm)・KrF(248nm)エキシマレーザーを光源とする主流リソグラフィ技術。EUV後も非クリティカル層・成熟ノードに不可欠な理由、ArFiマルチパターニング(SADP/SAQP)との組み合わせ、ASML・Nikon・Canonの装置をわかりやすく解説。
DUV(Deep Ultraviolet:深紫外線)とは、波長100〜300nm程度の紫外線領域を指し、半導体リソグラフィ(フォトリソグラフィ)の光源として広く使われています。代表的な光源はKrF(フッ化クリプトン)エキシマレーザー(248nm)とArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザー(193nm)で、EUV(Extreme Ultraviolet、13.5nm)と区別するために「DUV」と呼ばれます。現在も世界中の半導体ファブで最も広く稼働している露光技術です。
DUVリソグラフィの歴史は1990年代のKrF(248nm)導入に始まり、2000年代にArF(193nm)が主力となりました。2007年頃からはArFi(ArF液浸露光)が実用化され、レンズとウェハの間に純水(n=1.44)を満たしてNA>1を実現することで、ドライArFより40%以上高い解像度を達成しました。さらにSADP・SAQPなどのマルチパターニング技術と組み合わせることで、ArFiは10nm世代まで対応し、現在も7nm〜3nmの非クリティカル層(ゲート・コンタクト以外の多数の層)に使われ続けています。
EUVが普及した現在もDUVが不可欠な理由は、①コスト:ArFi露光装置(約50〜100億円)はEUV(約170〜200億円)より大幅に低コスト、②スループット:ArFi機(305 WPH)はEUV機(220 WPH)より高い処理能力を持つ、③台数:世界中のファブにArFi・KrF装置が大量導入済みで既存資産を活用できる、④用途の棲み分け:1枚のウェハを完成させる100以上の露光工程のうちEUVが使われるのは数層のみで残りはDUVが担う、の4点です。
DUVの主な現在の用途は、①先端ロジック(3nm・5nm等)の非クリティカル層(フィールド酸化膜・メタル配線下層・コンタクトホール等)、②成熟ノード(28nm・40nm・65nm等)の全層にわたる量産、③DRAM・NANDの多くの層(EUVは一部クリティカル層のみ)、④アナログ・パワー半導体(100nm〜数μm:KrFが主力)の製造です。ArFiで使うマルチパターニング(SADP/SAQP/LELELE)の設計・プロセスノウハウはDUV装置の重要な付加価値です。
DUV露光装置市場はASML(アズマ・スウィング式スキャナーNXTシリーズ:市場シェア75%以上)、Nikon(NSR-Sシリーズ)、Canon(FPAシリーズ)が主要メーカーです。EUVはASMLの独占ですが、DUVではNikon・Canonも一定のシェアを持ちます。ASMLはArFi最新機(NXT:2100i:最大305 WPH・NA=1.35)で先端ファブに供給し続けています。