SEMICONDUCTOR BASICS — 比較記事

石英部品とセラミック部品の違い(装置内部材の比較)

半導体製造装置のチャンバー内部材は、高温・プラズマ・腐食性ガスという過酷な環境で、金属汚染を起こさずに機能しなければなりません。この要求に応えるのが石英ガラスとファインセラミックですが、両者は材料としての性格が大きく異なり、使われる場所も自然と分かれています。

最終更新: 2026-08-12

結論:石英部品(石英ガラス)セラミック部品(アルミナ・AlN・SiC)の違いは?

石英部品とセラミック部品の違いは「透明な非晶質ガラスか、焼結した多結晶体か」という材料構造の差に集約されます。石英は熱膨張が極めて小さく高純度化しやすいため、拡散炉のチューブ・ボートや観察窓に向きます。セラミック(アルミナ・AlN・SiC)は熱伝導率が高く機械強度と耐プラズマ性に優れるため、静電チャック・ヒーター・フォーカスリングなど、熱を伝えプラズマに耐える部位に使われます。

比較表

石英部品(石英ガラス)セラミック部品(アルミナ・AlN・SiC)
石英部品(石英ガラス)セラミック部品(アルミナ・AlN・SiC)観点別比較
観点石英部品(石英ガラス)セラミック部品(アルミナ・AlN・SiC)
材料構造非晶質(アモルファス)のガラス。透明焼結した多結晶体。不透明
耐熱温度の目安1,200℃前後(長時間では失透が進む)アルミナ1,500℃級・SiCはさらに高温に耐える
熱膨張・熱衝撃熱膨張率が極めて小さく急熱急冷に非常に強い石英より熱膨張は大きいが、材種により良好
熱伝導率低い(断熱的)高い(AlN 150〜180W/m·K、SiCも高い)
耐プラズマ性フッ素系プラズマで徐々にエッチングされるY₂O₃コーティングと併用で高い耐性を確保しやすい
純度・汚染合成石英でppbレベルの低金属汚染高純度グレードあり。焼結助剤の管理が要点
代表的な用途拡散炉チューブ・ボート、観察窓、石英リング、洗浄槽静電チャック、セラミックヒーター、サセプタ、フォーカスリング
主なメーカー信越石英・東ソー・HOYA日本ガイシ・京セラ・TOTO・CoorsTek

使い分けの基本:熱を「遮る」か「伝える」か

石英は熱伝導率が低く、熱膨張がほとんど無いという性質を持ちます。これは炉心管のように、内部を高温に保ちつつ急激な温度変化にも割れない部材に理想的です。一方、ウェハを均一に加熱したい部位では熱を素早く伝える必要があり、AlNのような高熱伝導セラミックが選ばれます。静電チャックが石英ではなくセラミックで作られるのは、吸着だけでなく熱を逃がす役割を担うためです。

消耗の仕方が違う:失透とエロージョン

石英は高温での長時間使用により表面が失透(クリストバライト化)して白濁し、剥離片がパーティクル源になります。セラミックはプラズマによるエロージョン(浸食)が主な劣化モードで、粒界から粒子が脱落してパーティクルを生みます。どちらも消耗部品として交換・再生の対象ですが、劣化の兆候の見方と寿命判断の基準が異なります。

耐プラズマコーティングという第三の選択

近年は、母材が石英かセラミックかという議論以上に、表面にどの被膜を施すかが部品寿命を左右します。イットリア(Y₂O₃)系やYOF系の耐プラズマコーティングは、フッ素系プラズマ環境での浸食速度を桁で下げ、パーティクル発生も抑えます。母材は強度・熱特性・加工性で選び、プラズマ耐性は表面処理で作り込むという設計が一般的になっています。

関連ページ

石英部品(用語)
セラミックヒーター(用語)
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イットリア溶射コーティング(用語)
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石英・セラミック部品カテゴリ
信越石英企業ページ(高純度石英ガラス)
日本ガイシ企業ページ(静電チャック・セラミックヒーター)
トーカロ企業ページ(イットリア溶射・部品再生)

よくある質問

石英とセラミックはどちらが長持ちしますか?
使う場所によります。高温だが穏やかな雰囲気の拡散炉では石英が長期間使えますが、フッ素系プラズマに曝される部位では石英はエッチングされやすく、耐プラズマコーティングを施したセラミックのほうが有利です。劣化モードが違うため、単純な優劣比較はできません。
なぜAlN(窒化アルミ)が静電チャックに使われるのですか?
熱伝導率が150〜180W/m·Kと高くウェハの熱を効率よく逃がせること、そして体積抵抗率を制御することでジョンセン・ラーベック型の強い吸着力を得られることの2点が理由です。加熱・吸着・除熱を1つの部材で担えるため、装置構造を簡潔にできます。
石英部品の失透(白濁)は使い続けても問題ありませんか?
問題があります。失透した表面は結晶化により体積が変化して剥離しやすくなり、剥がれた破片がパーティクル源となってウェハ欠陥を引き起こします。白濁は寿命の指標として扱われ、定期的な交換や研磨・エッチングによる再生の判断基準になります。

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