結論:エロージョン(侵食)とコロージョン(腐食)の違いは?
違いは「何で削られるか」です。エロージョン(侵食)は研磨や流体・粒子の衝突による機械的なすり減りで、半導体ではCMPで配線の密集部が周囲より削れすぎる現象を指します。コロージョン(腐食)は金属が水分・酸素・イオン・薬液と化学的に反応して溶けたり変質したりする現象で、アルミ配線のエッチング後の腐食や、銅CMP後のガルバニック腐食が代表例です。エロージョンは密度をそろえるダミーパターンで、コロージョンは残留物の除去や防食剤、待ち時間の管理で防ぎます。
比較表
| 観点 | エロージョン(侵食) | コロージョン(腐食) |
|---|---|---|
| 原因 | 機械的なすり減り(研磨・流体・粒子の衝突) | 化学的・電気化学的な反応 |
| 必要な要素 | 力と相対的な動き | 水分・酸素・イオン・薬液と金属 |
| 半導体での代表例 | CMPで配線の密集部が全体に削れすぎる | アルミ配線のアフターコロージョン、銅CMP後の腐食 |
| パターン依存 | 強い(配線の密度で程度が変わる) | 材料の組み合わせ・電位差・残留物に依存 |
| 結果 | 配線が薄くなり抵抗が上がる、平坦性の悪化 | 配線の断線・抵抗上昇・パーティクル |
| 主な対策 | ダミーパターン、研磨条件・スラリーの最適化 | 残留物の除去、防食剤、Q-Time管理、保護膜 |
CMPのエロージョンは「密度」の問題
CMPでは、細い配線が密集している領域は、配線の金属と間の絶縁膜が一緒に削られ、周囲の何もない領域より全体に低くなります。これがエロージョンで、広い配線の中央が皿状にへこむディッシングと並ぶCMPの代表的な形状の不良です。配線が薄くなると抵抗が上がり、表面の段差は上の層の露光や研磨にも影響します。設計のルールでパターンの密度に上限と下限を設け、空いた領域にダミーパターンを入れて密度をそろえるのが基本的な対策です。
コロージョンは「反応」の問題
コロージョンは、金属が水分や薬液と反応して起こります。アルミニウム配線を塩素系のガスでエッチングすると、残った塩素が大気中の水分と反応して配線を溶かすアフターコロージョンが起き、銅のCMP後には、むき出しの銅がバリアメタルとの電位差で溶け出すガルバニック腐食が起こります。製品になってからも、パッケージに入り込んだ水分とイオンがパッドを腐食させます。残留物の除去、防食剤を含む洗浄液、工程間の待ち時間の管理、保護膜による水分の遮断が対策です。
両方が同時に起こる場面もある
CMPの最中は、スラリーの薬液による化学的な作用と、砥粒とパッドによる機械的な作用が同時に働きます。化学的な作用が強すぎれば銅の腐食やくぼみが、機械的な作用が強すぎればスクラッチやエロージョンが目立ちます。流体が高速で流れる配管や装置の部品でも、流れによる摩耗と腐食が重なって劣化が速まるエロージョン・コロージョンが知られています。不良の原因を探るときは、形状や発生場所から、どちらが主因かを見分けることが重要です。