ダミーパターン(Dummy Pattern)とは、回路としての電気的な働きを持たないのに、製造の仕上がりをそろえる目的でチップの空いた領域などに配置するパターンのことです。ダミーフィル(Dummy Fill)とも呼ばれます。半導体の多くの工程は、パターンの密度(面積に対してパターンが占める割合)によって仕上がりが変わるため、密度の偏りを減らしてウェハ全体を均一に加工できるようにするのが目的です。
最も代表的なのはCMP(化学機械研磨)のためのダミーパターンです。CMPでは、配線が密集している場所と空いている場所とで削れ方が変わり、密集部が全体に削れすぎるエロージョンや、広い金属部分が皿状にへこむディッシングが起こって、表面の平坦性が悪くなります。空いた領域に小さな四角などのダミーパターンを敷き詰めて密度をそろえると、削れ方が均一になります。設計のルールでは、一定の範囲の中でパターンの密度が上限と下限の間に収まるよう求められ、設計の最終段階でEDAツールが自動的にダミーパターンを挿入します。
ダミーパターンはエッチングや露光でも使われます。エッチングでは、パターンの密度によって速さが変わるマイクロローディング効果を抑えるために、露光では、周囲の環境がそろっていないと寸法が変わる端のパターンを安定させるために、トランジスタのゲートの列の端にダミーのゲートを置くなどします。一方で、配線層のダミーパターンは近くの信号線との間に余分な容量(寄生容量)を作り、信号の遅延に影響するため、重要な配線の近くでは間隔を空けたり、寄生容量の抽出に含めてタイミングを検証したりします。