コロージョン(Corrosion:腐食)とは、金属が周囲の水分・酸素・イオン・薬液などと化学的・電気化学的に反応して、溶けたり酸化物などに変わったりして劣化する現象です。半導体では、アルミニウムや銅の配線、ボンディングパッド、装置の金属部品などで起こり、配線の断線や抵抗の上昇、パーティクルの発生の原因になります。似た言葉のエロージョン(Erosion)は、研磨や流体による機械的なすり減りを指し、化学反応による腐食とは区別されます。
製造工程での代表例は、配線のエッチング後と研磨後の腐食です。アルミニウム配線を塩素系のガスでドライエッチングすると、配線の側面やレジストに塩素が残り、大気中の水分と反応して塩酸となって配線を腐食させます(アフターコロージョン)。これを防ぐため、エッチング直後にプラズマ処理や水洗で塩素を除きます。銅配線のCMP後は、銅の表面がむき出しの状態で薬液や水にさらされるため、銅とバリアメタルの電位差による電気化学的な腐食(ガルバニック腐食)や酸化が起こりやすく、防食剤を含む洗浄液の使用や、次の工程までの待ち時間(Q-Time)の管理で抑えます。
製品の信頼性でも腐食は重要です。パッケージの樹脂を通して入り込んだ水分と、樹脂や汚れに含まれる塩素などのイオンがアルミニウムのパッドに届くと、電圧がかかった状態で腐食が進み、断線に至ります。この耐性は、高温高湿の条件で電圧をかけるHAST(高加速温度湿度ストレス試験)やプレッシャークッカー試験で評価され、チップ表面の保護膜(パッシベーション)や樹脂の純度が対策になります。製造装置でも、塩素やフッ素系の腐食性ガスを扱う配管・部品に、電解研磨したステンレスや耐食性の高い合金・コーティングが使われます。