DHF(希フッ酸)とBHF(バッファードフッ酸)の違い

半導体の工場では、フッ酸を含む薬液が洗浄とエッチングの両方で毎日のように使われます。中でもDHFとBHFはよく似た名前ですが、組成と得意な仕事が違います。ここでは2つの薬液の違いと使い分けを整理します。

最終更新: 2026-10-03

結論:DHF(希フッ酸)とBHF(バッファードフッ酸)の違いは?

どちらもシリコン酸化膜を溶かすフッ酸系の薬液ですが、DHFはフッ酸を水で薄めただけの液、BHFはフッ酸にフッ化アンモニウムを加えた緩衝液です。DHFは主に洗浄で、ウェハ表面の薄い自然酸化膜や表面の金属を短時間で除くのに使われます。BHFは緩衝作用でエッチングの速さが長く一定に保たれ、レジストも剥がれにくいため、厚い酸化膜を決まった量だけ削るパターン加工に使われます。

比較表

DHF(希フッ酸)BHF(バッファードフッ酸)
DHF(希フッ酸)とBHF(バッファードフッ酸)の観点別比較
観点DHF(希フッ酸)BHF(バッファードフッ酸)
組成フッ酸(HF)を超純水で希釈フッ酸+フッ化アンモニウム(NH₄F)
濃度の例HF 0.5〜数%程度(1:100、1:50など)NH₄F:HF=6:1、10:1など
主な用途洗浄(自然酸化膜・表面金属の除去)酸化膜のパターンエッチング
除く酸化膜の厚さ数nm程度の薄い膜数十nm〜μmの厚い膜
エッチング速度の安定性使うにつれて変化しやすい緩衝作用で長く一定
レジストへの影響短時間なので問題になりにくい酸性が穏やかで剥がれにくい
処理後のシリコン表面水素終端で疎水性酸化膜を除いた部分は水素終端

DHFは洗浄の仕上げ役

DHFは、RCA洗浄などの洗浄の流れの中で、ウェハ表面にできた薄い自然酸化膜や、酸化膜に取り込まれた金属を取り除くのに使われます。処理は数十秒〜数分と短く、処理後のシリコン表面は水素で終端されて水をはじく状態になります。ゲート酸化やエピタキシャル成長の直前に行うと、清浄なシリコン表面から次の工程を始められますが、時間がたつと再び酸化膜ができるため、次の工程までの待ち時間を管理します。

BHFは酸化膜の加工役

BHFは、レジストのパターンをマスクにして、厚い酸化膜を決まった深さまで溶かすウェットエッチングに使われます。フッ化アンモニウムが消費されたフッ素の成分を補う緩衝剤として働くため、多数のウェハを処理してもエッチングの速さがほぼ一定で、狙った量を正確に削れます。酸性が穏やかなためレジストが剥がれにくく、シリコンや窒化膜はほとんど溶かさないので、下地を残して酸化膜だけを除けます。

ドライエッチングとの使い分け

微細なパターンの酸化膜の加工は、現在はほとんどがドライエッチングで行われます。ウェットエッチングは横方向にも同じように溶けるため、微細な寸法を保てないからです。一方、下地をプラズマで傷めたくない場合、犠牲層を広く溶かして取り除く場合、ばらつきの少ない一括処理をしたい場合には、BHFなどのウェットエッチングが今も使われています。DHFは洗浄の工程として、先端品でも欠かせない存在です。

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よくある質問

DHFとBHFは同じ目的で使えますか?▾
どちらも酸化膜を溶かせますが、得意な仕事が違います。DHFは薄い自然酸化膜を短時間で除く洗浄向きで、BHFは厚い酸化膜を速さを一定に保ちながら決まった量だけ削る加工向きです。目的に合わない方を使うと、削りすぎやばらつきの原因になります。
BOEとBHFは同じものですか?▾
同じものを指します。BOEはBuffered Oxide Etch(緩衝酸化膜エッチング液)の略で、フッ酸にフッ化アンモニウムを加えた液のことです。日本ではBHFやバッファードフッ酸、緩衝フッ酸と呼ばれることが多い薬液です。

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