GLOSSARY

ディッシング(CMP)とは

Dishing
最終更新:2026-08-25金属CMP装置酸化膜CMP装置

ディッシング(CMP)とは?

ディッシング(CMP)とは、化学機械研磨の後に、幅の広い金属パターンの中央部が過剰に削られて皿状にくぼむ現象です。銅ダマシン配線のCu-CMPで特に顕著で、配線の断面積が減ることによる電気抵抗の増加や、後工程でのフォーカスマージン低下を招きます。スラリー・研磨条件やダミーパターンの設計で抑制します。

定義・解説

ディッシング(Dishing)は銅ダマシンCMP後に幅広い配線中央部がくぼむ現象。パッドのたわみによるCu優先研磨が原因。抵抗増加・フォーカスマージン低下への影響とBTA腐食抑制剤・スラリー最適化による対策をわかりやすく解説。

ディッシング(Dishing)とは、CMP(化学機械研磨)プロセス後に、配線やプラグなどの金属パターン(特に幅の広いパターン)の中央部が過剰に研磨されてくぼみが生じる現象です。研磨後の金属表面断面がお皿(dish)のように凹んで見えることからこの名称がついています。銅ダマシン配線プロセスでの銅(Cu)CMPにおいて特に顕著に現れ、配線の電気抵抗増加・寄生容量変化・後工程でのフォーカスマージン低下の原因となります。

ディッシングが発生するメカニズムは、CMPの研磨パッドが柔軟性を持つため、金属が埋め込まれたトレンチ(溝)の上では金属に優先的に接触し、金属を周囲の絶縁膜より速くエッチングしてしまうことです。特に幅広い配線(数μm〜数十μm)ほどパッドが配線上に大きくたわみやすいため、ディッシング量が大きくなる傾向があります。典型的なCuディッシングは数十nm〜200nm程度で、プロセス条件・スラリー・パッドによって異なります。

ディッシングの影響として、①電気的影響:配線断面積の減少による電気抵抗(R)増加、RC遅延の増大、②形状影響:後続の露光工程でウェハ表面の平坦度が低下しフォーカス余裕が減少、③信頼性影響:ディッシング量の面内ばらつきが論理・メモリチップの性能ばらつきに直結する、があります。特に先端CMOSでは10nm以下のディッシング制御が必要になっています。

ディッシングを低減するための技術的対策として、①スラリー選択比の最適化(金属と絶縁膜の研磨速度比の調整)、②化学的添加剤(腐食抑制剤BTA:ベンゾトリアゾール等の添加で銅の過剰溶解を抑制)、③研磨パッドの硬度選択(硬いパッドは段差追従性が低くディッシングを抑制)、④研磨時間・圧力制御、⑤パターン密度の設計ルール(広い配線にスロット/ダミーパターンを挿入して実効配線幅を下げる)があります。

ディッシングの計測にはAFM(原子間力顕微鏡)や光学式段差計(段差メーター)が使われ、ウェハ面内複数点での測定値から均一性を評価します。ディッシングはエロージョン(配線密集部の過剰研磨)と合わせてCMP品質の主要指標として管理されます。Applied Materials(Reflexion)・荏原製作所(FREX)・KCTechが先端CMPでのディッシング制御技術を競っています。

よくある質問(FAQ)

ディッシングはなぜ問題になるのですか?
配線の断面積が減って電気抵抗が増加し、信号遅延やエレクトロマイグレーション耐性の悪化を招くためです。また表面に凹凸が残ると、次の層の露光でフォーカスマージンが不足しパターン形成の精度が落ちます。
ディッシングはどうやって抑えますか?
金属と絶縁膜の研磨選択比を適切に設定したスラリーの使用、研磨圧力とパッド硬度の最適化、そして設計側でのダミーパターン挿入による金属密度の均一化です。幅の広い配線をあえて細い配線に分割するスリット化も有効です。
ディッシングとエロージョンはどう違いますか?
ディッシングは1本の広い配線の内部が皿状にくぼむ現象で、エロージョンは配線が密集した領域全体が絶縁膜ごと低くなる現象です。前者は個々の配線の断面積を減らし、後者は領域全体の高さを下げるため、多層配線では段差の累積要因になります。

設備の製造メーカー

Applied Materials米国

世界最大の半導体製造装置サプライヤー。成膜、除去、改質、分析の包括的な製品ポートフォリオで、ウェーハ製造の全工…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

金属CMP装置
酸化膜CMP装置

関連用語

CMPとは →CMPスラリーとは →エロージョン(CMP)とは →パッドコンディショニングとは →ナノトポグラフィとは →メタルCMP(Cu・W研磨)とは →ストッパ膜(研磨ストップ層)とは →研磨均一性(WIWNU・WTWNU)とは →

同じトピックの用語

CMP・平坦化 のトピックで関連する用語です。

CMP(化学機械研磨)とは →研磨パッド(CMPパッド)とは →リテーナリングとは →研磨ヘッド(キャリアヘッド)とは →酸化膜CMP(STI-CMP・ILD-CMP)とは →研磨レート(Prestonの式)とは →スクラッチ(CMP傷)とは →ポストCMP洗浄とは →

同じトピックの企業

荏原製作所日本岡本工作機械製作所日本KCTech(ケーシーテック)韓国CMCマテリアルズ(Cabot Microelectronics)米国フジミインコーポレーテッド日本デュポン(DuPont)米国

比較・違いを学ぶ

Cu-CMPとW-CMPの違い(メタルCMPの比較)
メタルCMPは、配線を作るための「余分な金属を削り落とす」工程です。銅ダマシン配線の余剰Cu除去と、コンタクトプラグのタングステン除去という二大用途がありますが
セリアスラリーとシリカスラリーの違い(CMP砥粒の比較)
CMPスラリーの性能を決めるのは砥粒だけではありませんが、砥粒種の選択はプロセスの性格を大きく規定します。セリアとシリカは、同じ「ナノ粒子を分散させた研磨液」で
CMPとエッチバックの違い|平坦化手法を比較
どちらもウェハ表面を平坦化する技術ですが、メカニズムが根本的に異なります。CMPは研磨剤(スラリー)と研磨パッドを使った化学・機械的研磨で、ナノメートル精度の大
← 用語集に戻る