最終更新 2026-10-19

MRAMとは(磁気抵抗RAM)

Magnetoresistive Random-Access Memory
目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

MRAM(Magnetoresistive Random-Access Memory:磁気抵抗メモリ)とは、磁性体の磁化方向によりデータを記憶する不揮発性メモリです。電源を切ってもデータが保持される不揮発性と、SRAMに近い高速アクセス(10〜50ns)・高書き込み耐久性(10¹²回以上)を兼ね備えており、フラッシュメモリ・DRAMの弱点を補う「ユニバーサルメモリ」候補として注目されています。STT-MRAM(Spin Transfer Torque MRAM)が現在の主流技術で、Samsung・TDK・Everspin・GlobalFoundriesが量産しています。

MRAMの記憶原理は磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)にあります。2枚の強磁性膜(固定層・自由層)と薄いトンネル絶縁膜(MgO)から構成されるMTJセルは、自由層の磁化方向が固定層と平行(低抵抗・「0」)または反平行(高抵抗・「1」)の2状態をとります。STT-MRAMでは書き込み電流のスピン角運動量で磁化方向を反転させ、読み出しは抵抗値の差で行います。

MRAMの用途は組み込みメモリ(eMRAM)と独立メモリの2系統で拡大しています。eMRAMは先端ロジックチップ内のSRAMキャッシュの一部をMRAMで置き換える用途で、GlobalFoundries 22FDX・Samsung SF28などのプロセスに組み込まれています。車載マイコン(ルネサスRH850等)のフラッシュ代替として採用が進んでおり、高温動作・高書き換え耐久性が車載用途に適合します。

SOT-MRAM(Spin-Orbit Torque MRAM)が次世代技術として研究されています。STT-MRAMより書き込み速度が1桁以上速く(<1ns)、書き込み電流も低減できるSOT-MRAMは、L1/L2キャッシュのSRAM代替候補として学術界・産業界で活発に研究中です。IMEC・CEA-Leti・各大学がSOT-MRAM試作に取り組み、量産化の課題(MTJの均一性・SOT材料の最適化)の解決を目指しています。

MRAM市場は2026〜2030年に年率25%超の成長が予測されています。特に車載・産業IoT・エッジAIの組み込みメモリ需要が牽引役です。日本ではTDKとSonyがSTT-MRAM開発で存在感を示しており、日本の材料技術(MgO成膜・スパッタリングターゲット)とMRAMの相性の良さから、国内材料メーカーにも恩恵があります。MRAMの量産にはスパッタリング装置(アルバック・東京エレクトロン・Canon Anelva)・CMP装置・ALD装置が使われます。

図解

MRAMの記憶素子MTJ(自由層・トンネル障壁・固定層)の構造と動作
マイコンの組み込みメモリ(eMRAM)として、フラッシュの置き換えが進む。

紛らわしい言葉の切り分け

MRAMとNANDフラッシュ。違いは記録の原理です。MRAMは磁気トンネル接合の磁化の向きで記録し、書き込みが速く書き換え回数にほぼ制限がないため、組み込みメモリに向きます。NANDは電荷の蓄積で記録し、書き込みは遅く回数も限られますが、大容量で安価なためストレージに使われます。 比較記事 →

ReRAMとMRAM。違いは抵抗を変える仕組みです。ReRAMは酸化膜の中に導電性のフィラメントを作ったり切ったりする方式で、構造が単純で微細化に向きます。MRAMは磁化の向きで抵抗を変える方式で、書き換え耐性が非常に高く、読み書きも速くなります。 比較記事 →

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発メモリ設計エンジニア

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

LEXIA™-EX東京エレクトロン(TEL)・PVD装置
Endura® Clover® MRAM PVDApplied Materials・PVD装置
CAPRES CIPTech®KLA・シート抵抗測定装置
EXIM™東京エレクトロン(TEL)・PVD装置
MicroSense® PKMRAMKLA・膜組成分析装置(XRF/FTIR)
MicroSense® KerrMapperKLA・膜組成分析装置(XRF/FTIR)

デバイスの製造メーカー

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

GlobalFoundries米国

世界第3位のファウンドリ。AMD・IBM半導体部門を統合して設立。12nm以上の成熟ノードとRF-SOI・FD…

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:MRAM」(2026/10/07 確認)
  2. 東京エレクトロン(TEL)「LEXIA™-EX 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. Applied Materials「Endura® Clover® MRAM PVD 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  4. KLA「CAPRES CIPTech® 製品ページ」(2026/10/07 確認)