ゲートドライバとは、マイコンなどの制御信号を受けて、パワーデバイスのゲートを駆動するのに十分な電圧と電流を供給する専用ICです。MOSFETやIGBTのゲートは容量性の負荷で、高速にオン・オフするには短時間に大きな充放電電流を流す必要があるため、制御信号を直接つなぐことはできません。
重要な役割の一つが絶縁です。インバーターのハイサイド側は基準電位が変動するため、制御回路と絶縁したうえで駆動する必要があります。フォトカプラ、磁気結合、容量結合といった絶縁方式が使われ、高いdv/dt耐性(コモンモード過渡耐量)が求められます。
SiCやGaNを使う場合、ゲートドライバの要求水準が一段上がります。スイッチングが速いぶん誤動作の余地が小さく、寄生インダクタンスによるゲート電圧の跳ね返りでオフのはずのデバイスが誤ってオンする「セルフターンオン」を防ぐ必要があります。負バイアスでオフ状態を確実に保つ設計や、ゲート配線の低インダクタンス化が対策になります。
近年のゲートドライバICは、デッドタイム生成、過電流保護(DESAT検出)、ソフトシャットダウン、温度監視、故障通知といった保護機能を統合しており、単なる増幅器ではなくパワーステージの安全を担うコンポーネントになっています。