最終更新 2026-10-19

スイッチング損失とは

Switching Loss

スイッチング損失とは、パワーデバイスがオン・オフを切り替える過渡期間に、電圧と電流が同時にゼロでない状態を通ることで生じる損失です。ターンオン損失(Eon)とターンオフ損失(Eoff)に分けて評価され、スイッチング周波数に比例して増えます。IGBTはターンオフ時のテール電流が大きな要因ですが、多数キャリアデバイスのSiC MOSFETにはこれがなく、100kHz以上の高周波動作が可能になります。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

スイッチング損失とは、パワーデバイスがオンとオフを切り替える過渡期間に発生する電力損失です。切り替えの瞬間は電圧と電流が同時にゼロでない状態を通過するため、その積が損失として熱になります。ターンオン損失(Eon)とターンオフ損失(Eoff)に分けて評価されます。

導通損失が電流の2乗に比例するのに対し、スイッチング損失はスイッチング周波数に比例して増えます。したがって低周波なら導通損失が、高周波ならスイッチング損失が支配的になり、この2つの和が最小になる周波数が最適動作点になります。

IGBTでは、ターンオフ時に蓄積された少数キャリアが掃き出されるまで電流が流れ続ける「テール電流」がスイッチング損失の大きな要因です。多数キャリアデバイスであるSiC MOSFETにはこのテール電流がないため、Eoffを大幅に下げられます。SiCが100kHz以上の高周波動作を可能にする理由がここにあります。

スイッチング損失はデバイス単体では決まらず、ゲート駆動条件と回路の寄生インダクタンスに強く依存します。ゲート抵抗を下げれば高速化して損失は減りますが、dv/dtとdi/dtが増えてサージ電圧やノイズ(EMI)が悪化します。この折り合いをつけるのがゲートドライバ設計の要点です。

図解

パワー半導体のスイッチング損失(ターンオン損失とターンオフ損失)の発生
周波数を上げると部品は小さくなるが、スイッチング損失が増える。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールパワー半導体の損失計算ツール(MOSFET・IGBT)計算・換算ツールDC-DCコンバータ(降圧・昇圧)インダクタ計算ツール計算・換算ツールゲート駆動電力・ゲート抵抗 計算ツール

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発パワーデバイス開発エンジニア

よくある質問(FAQ)

導通損失とスイッチング損失はどちらが支配的ですか?
動作周波数によります。導通損失は電流の2乗に比例し周波数には依存しませんが、スイッチング損失は周波数に比例して増えます。したがって低周波では導通損失が、高周波ではスイッチング損失が支配的になり、両者の和が最小になる周波数が最適動作点です。
テール電流とは何ですか?
IGBTのターンオフ時に、ドリフト層に蓄積された少数キャリアが再結合で消えるまで電流が流れ続ける現象です。これがEoff(ターンオフ損失)を大きくし、IGBTの動作周波数を通常20kHz以下に制限します。多数キャリアデバイスであるMOSFETにはテール電流がありません。
スイッチングを速くすれば損失は減りますか?
損失自体は減りますが、dv/dtとdi/dtが増えるためサージ電圧とEMIノイズが悪化します。またモーター用途では巻線の絶縁にも負担がかかります。ゲート抵抗の調整でこの折り合いをつけるのが、ゲート駆動設計の要点です。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

PD1500A ダイナミックパワーデバイスアナライザKeysight Technologies・パワーデバイステスター

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出典・参考資料

  1. ローム TechWeb「SiC MOSFET:スイッチング波形から損失を求める方法」(2026/10/07 確認)