GLOSSARY

スイッチング損失とは

Switching Loss
最終更新:2026-08-03パワー半導体

スイッチング損失とは?

スイッチング損失とは、パワーデバイスがオン・オフを切り替える過渡期間に、電圧と電流が同時にゼロでない状態を通ることで生じる損失です。ターンオン損失(Eon)とターンオフ損失(Eoff)に分けて評価され、スイッチング周波数に比例して増えます。IGBTはターンオフ時のテール電流が大きな要因ですが、多数キャリアデバイスのSiC MOSFETにはこれがなく、100kHz以上の高周波動作が可能になります。

定義・解説

スイッチング損失とは、パワーデバイスがオンとオフを切り替える過渡期間に発生する電力損失です。切り替えの瞬間は電圧と電流が同時にゼロでない状態を通過するため、その積が損失として熱になります。ターンオン損失(Eon)とターンオフ損失(Eoff)に分けて評価されます。

導通損失が電流の2乗に比例するのに対し、スイッチング損失はスイッチング周波数に比例して増えます。したがって低周波なら導通損失が、高周波ならスイッチング損失が支配的になり、この2つの和が最小になる周波数が最適動作点になります。

IGBTでは、ターンオフ時に蓄積された少数キャリアが掃き出されるまで電流が流れ続ける「テール電流」がスイッチング損失の大きな要因です。多数キャリアデバイスであるSiC MOSFETにはこのテール電流がないため、Eoffを大幅に下げられます。SiCが100kHz以上の高周波動作を可能にする理由がここにあります。

スイッチング損失はデバイス単体では決まらず、ゲート駆動条件と回路の寄生インダクタンスに強く依存します。ゲート抵抗を下げれば高速化して損失は減りますが、dv/dtとdi/dtが増えてサージ電圧やノイズ(EMI)が悪化します。この折り合いをつけるのがゲートドライバ設計の要点です。

よくある質問(FAQ)

導通損失とスイッチング損失はどちらが支配的ですか?
動作周波数によります。導通損失は電流の2乗に比例し周波数には依存しませんが、スイッチング損失は周波数に比例して増えます。したがって低周波では導通損失が、高周波ではスイッチング損失が支配的になり、両者の和が最小になる周波数が最適動作点です。
テール電流とは何ですか?
IGBTのターンオフ時に、ドリフト層に蓄積された少数キャリアが再結合で消えるまで電流が流れ続ける現象です。これがEoff(ターンオフ損失)を大きくし、IGBTの動作周波数を通常20kHz以下に制限します。多数キャリアデバイスであるMOSFETにはテール電流がありません。
スイッチングを速くすれば損失は減りますか?
損失自体は減りますが、dv/dtとdi/dtが増えるためサージ電圧とEMIノイズが悪化します。またモーター用途では巻線の絶縁にも負担がかかります。ゲート抵抗の調整でこの折り合いをつけるのが、ゲート駆動設計の要点です。

設備の製造メーカー

Infineon Technologiesドイツ

欧州最大の半導体メーカー。パワー半導体(IGBT・SiC MOSFET)・マイコン・セキュリティICで世界トッ…

企業詳細を見る →
ローム(ROHM)日本

パワー半導体・SiCデバイス・LED・抵抗器の総合半導体IDM。日本でSiC事業を早期に強化し、EV・産業機器…

企業詳細を見る →
富士電機日本

日本の総合電機メーカーで、パワー半導体を中核事業の一つとする。IGBTモジュールやパワーMOSFET、SiCデ…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

パワー半導体

関連用語

パワー半導体とは →IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)とは →SiC MOSFET(炭化ケイ素パワートランジスタ)とは →ゲートドライバとは →オン抵抗(RDS(on))とは →DC-DCコンバータとは →ワイドバンドギャップ半導体とは →パワーモジュールとは →EVインバーター(主駆動インバーター)とは →
← 用語集に戻る