最終更新 2026-10-09

スキャナーとは(露光)

Scanner (Lithography)

スキャナー(露光装置)とは、レチクルとウェハを同期させて走査しながら露光する方式のリソグラフィ装置です。ウェハを静止させて一括露光するステッパーと違い、レチクルとウェハを逆方向に連動移動させるため、大きな露光フィールド・高スループット・均一な照明が得られます。現代の前工程露光装置はEUVを含めほぼすべてスキャナー方式です。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

スキャナー(Scanner)とは、半導体リソグラフィに用いる露光装置の一種で、レチクル(フォトマスク)とウェハを同期させてスキャン(走査)しながら露光する方式の装置です。1980年代まで主流だった「ステッパー(Stepper)」がウェハを静止させて一括露光するのとは異なり、スキャナーはレチクルとウェハを逆方向に連動移動させながら露光するため、大きな露光フィールド・高スループット・より均一な照明が実現します。現代の前工程リソグラフィ装置はほぼすべてスキャナー方式です。

スキャナーの光源別主要タイプは次のとおりです。①KrFスキャナー(248nm):90nm〜250nmノード主力。②ArFドライスキャナー(193nm):65nm〜130nmノード対応。③ArF液浸スキャナー(193nm、ArFi):20nm〜65nmノードの主役、現在も最先端ファブで多数稼働。④EUVスキャナー(13.5nm):7nm以下ノードに適用。ASMLのみ量産サプライヤー。各光源タイプで開口数(NA)・解像度・スループットの特性が異なり、ファブでは複数タイプを工程別に使い分けます。

スキャナーの主要性能指標としては「解像度(Resolution)」「オーバーレイ精度(Overlay Accuracy)」「スループット(Throughput、WPH:Wafers Per Hour)」「焦点深度(Depth of Focus)」があります。最先端のASML NXT:2100iはスループット305枚/時間(公称)、オーバーレイ±1.0nm、解像度38nmハーフピッチを達成しています。EUVスキャナー(TWINSCAN NXE:3800E)は30mJ/cm²の露光量で毎時220枚以上を処理し、1台あたり数百億円の投資が必要です。

スキャナーの主要サプライヤーはASML(オランダ)・Nikon(日本)・Canon(日本)の3社ですが、EUVスキャナーはASMLの独占です。ArF液浸スキャナー市場でもASMLが80%超のシェアを持ち、NikonとCanonは特定のレガシーノード・特殊用途(FPD、MEMS)向けを中心に展開しています。1台のスキャナーは数万点以上の部品で構成され、レンズ・ステージ・照明系・アライメント系などに高精度サブシステムが凝縮されています。

スキャナーに関連する重要技術として「SMO(Source Mask Optimization)」「計算リソグラフィ(Computational Lithography)」があります。光源形状の最適化(Freeform Illumination)とレチクルOPCを組み合わせ、プロセスウィンドウを最大化します。また、スキャナーとコーター/デベロッパー(Tokyo Electron、TELのACT-12等)をクラスターツール化して搬送時の汚染・環境変動を最小化することが標準的なファブ構成となっています。

図解

スキャナー(走査型露光装置)とステッパーの比較
1ショットごとにステップして次の場所へ移る点は共通。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールオーバーレイ・EPE 誤差バジェット計算ツール

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)リソグラフィエンジニア(露光工程)装置・材料メーカー光学設計エンジニア(露光・検査装置)

よくある質問(FAQ)

スキャナーとステッパーはどう違いますか?
ステッパーはウェハを静止させてレチクル全体を一括露光し、ウェハを動かして次のショットへ進みます。スキャナーはレチクルとウェハを逆方向に同期移動させながらスリット状の光で走査するため、レンズの良好な部分だけを使えて、より大きな露光フィールドと高い均一性が得られます。
なぜ現代の露光装置はスキャナー方式なのですか?
露光フィールドを大きくしつつ収差の少ないレンズ領域だけを使えるため、解像度と均一性を両立できるからです。またスリット照明により照度分布の補正がしやすく、スループットも高くなります。EUV露光装置もスキャナー方式です。
露光フィールド(レチクル限界)とは何ですか?
1回のスキャンで露光できる最大面積のことで、現在は概ね26mm×33mmです。これを超える大きなチップは1回では作れないため、AI GPUのような大面積ダイはこの制約に達しており、チップレット分割やCoWoSでの多ダイ統合が必要になる理由の一つになっています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

TWINSCAN NXE:3600DASML・EUV露光装置
NSR-S635Eニコン(Nikon)・DUV露光装置
GT66Aギガフォトン・エキシマレーザー発振器
TWINSCAN NXT:2100iASML・DUV露光装置
NSR-S333Fニコン(Nikon)・DUV露光装置
NSR-S322Fニコン(Nikon)・DUV露光装置
NSR-S220Dニコン(Nikon)・DUV露光装置
NSR-S215Dニコン(Nikon)・DUV露光装置

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

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同じトピックの企業

カール・ツァイスSMT(Carl Zeiss SMT)ドイツコーニング・トロペル(Corning Tropel)米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ASML「TWINSCAN NXE:3600D 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. ニコン(Nikon)「NSR-S635E 製品ページ」(2026/10/07 確認)