EUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外線)とは、波長13.5nmの極短波長光を指し、半導体リソグラフィ(露光)分野において7nm以下の超微細回路パターンを形成するための光源技術として不可欠な存在となっています。可視光(400〜700nm)やArFエキシマレーザー(193nm)と比べて大幅に短い波長により、光回折による限界を突破した高解像度のパターン形成が実現します。
EUV光の生成には「レーザー生成プラズマ(LPP)方式」が採用されており、スズ(Sn)の微小液滴(直径約30μm)に高出力CO₂レーザーを照射してプラズマ化し、13.5nmの光を放出させます。この光は大気やガラスに強く吸収されるため、露光装置の内部は超高真空(10⁻⁶Pa以下)に保たれ、光学系はすべて反射ミラー(Mo/Si多層膜)で構成されます。この技術的複雑さが、1台あたり数百億円という装置価格に直結しています。
EUVが半導体産業にもたらす最大のメリットは、従来のDUV(ArF液浸、193nm)で必要だった「マルチパターニング(複数回露光)」を1回の露光に置き換えられる点です。7nm以下のノードでArF液浸を使う場合は4〜5回の重ね露光が必要でしたが、EUVでは工程数を大幅に削減でき、製造コストの低減と歩留まり向上が期待できます。TSMC・Samsung・Intelの最先端ファブではEUVが量産に適用されており、日本でもRapidusが2nm世代の量産ラインにEUV導入を計画しています。
EUVの進化として注目されるのが「High-NA EUV」(開口数NA=0.55)です。従来機(NA=0.33)に比べ解像度が約1.7倍向上し、2nm・1.4nm世代への対応が可能になります。ASMLが開発したHigh-NA機「EXE:5000シリーズ」は1台500億円超とされ、Intel・TSMC・Samsungが2025〜2026年に導入を進めています。EUV光源の変換効率向上(目標6%→現状5%台)や、レジスト感度とラインエッジラフネス(LER)のトレードオフ解消なども継続的な技術課題です。
EUVを取り巻く材料・部品分野でも日本企業が重要な役割を果たしています。JSRや東京応化(TOK)のEUVレジスト、信越化学・SKエレクトロニクスのマスクブランクス、三井化学・旭化成のEUVペリクルなど、EUVエコシステムのサプライチェーンに深く関与しています。また、EUV装置の検査・評価に使われるラメット検査(Actinic Inspection)装置はLasertecが世界で事実上唯一の供給メーカーであり、日本のEUV関連技術の存在感は極めて高いといえます。