ソースマスク最適化(SMO:Source-Mask Optimization)は、リソグラフィの露光光源の形状(ソース形状)とフォトマスク上のパターン(OPC補正を含む)を同時に最適化することで、ウェハ上の転写パターンの忠実度・焦点深度(DOF)・露光マージンを最大化する計算リソグラフィ技術です。OPC(光学近接効果補正)を光源設計まで拡張したものと位置付けられます。
SMOでは、照明形状(ダイポール・クアドルポール・自由形状など)とマスクパターン(主パターン+補助フィーチャ)を変数として、リソグラフィシミュレーション(Hopkins回折計算)をベースにした最適化アルゴリズム(逆問題ソルバー)で解を求めます。最適化の目標関数はウェハEPE(Edge Placement Error)の最小化・プロセスウィンドウの最大化などです。
SMOの重要性が高まった背景として、EUV露光機や先端DUV液浸スキャナーで使われる自由形状照明(ASMLのフレキシブルイルミネーター)の普及があります。照明形状の自由度が高くなった分、最適化の効果が大きい一方で計算量も膨大になります。EDA(Electronic Design Automation)ツールとの連携でマスクデータ作成フローに組み込まれています。
SMOはマスク製造と不可分の技術です。SMO最適化で得られた自由形状照明プロファイルをスキャナーに設定し、対応するOPC補正済みマスクデータを電子ビーム描画装置(mask writer)で書き込みます。マスクの製造精度(CD精度・位置精度)がSMO効果を実現する限界を決めるため、マスク装置(mask-writing・mask-repair)との連携が重要です。
計算ツールではSynopsys(Sentaurus Lithography)、Mentor Graphics(Calibre)、ASML(Brion TachyonSMO)が主要プレイヤーです。AI/機械学習を用いてSMO計算を高速化する研究も進んでおり、パターン設計→SMO→OPC→マスク製造の一気通貫最適化が次世代EDA課題となっています。