最終更新 2026-10-09

オーバーレイとは

Overlay

オーバーレイとは、多層露光において、異なる工程で形成したパターン層同士の重ね合わせ位置のずれ(位置合わせ誤差)を指します。ゲート層とコンタクトホール層が設計どおり重なっているかを示す指標で、誤差が仕様を超えるとショートやオープンといった不良を招きます。歩留まりを左右する主要因の一つで、専用の計測装置で管理します。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

オーバーレイは多層露光パターン間の位置合わせ誤差。EUV工程では±1nm以下の管理が必要。IBO(顕微鏡像解析)とDBO(回折光位相解析:精度±0.3nm)の測定方式、KLA Tencor・ASML YieldStarによるAPC(自動プロセス制御)ループをわかりやすく解説。

オーバーレイ(Overlay)とは、半導体製造の多層露光プロセスにおいて、異なる工程で形成したパターン層同士の「重なり位置のずれ(位置合わせ誤差)」を指します。例えばゲート層のパターンとコンタクトホール層のパターンが設計通りの位置に正確に重なっているかを示す指標です。オーバーレイ誤差が仕様を超えると、ショート・オープン・トランジスタ特性の異常などのデバイス不良となり、歩留まり低下の主要原因の一つです。

オーバーレイ誤差の発生原因は多岐にわたります。①露光装置のアライメント誤差:露光機がウェハ上の位置合わせマーク(Alignment Mark)を読み取りXYθ補正する際の精度限界。②ウェハの変形・伸縮:前工程(成膜・熱処理・エッチング等)によるウェハの応力変形・膨張・反り(Wafer Distortion)。③レチクル(マスク)の寸法誤差・熱膨張:露光熱によるマスクの微小膨張(MSD:Mask-induced Shift and Distortion)。④露光装置のレンズ収差・フィールド歪み:投影レンズの収差が不均一なパターン変位を生じさせる。これらが複合して発生するため、補正モデルの高精度化が重要です。

オーバーレイの測定方法には主に「IBO(Image-Based Overlay)」と「DBO(Diffraction-Based Overlay)」の2方式があります。IBO(顕微鏡像解析)は従来からの方式でBox-in-BoxやBar-in-BarターゲットのずれをCCDカメラで計測します。DBO(回折光位相解析)は格子ターゲット(SCOL・AIM等)に光を当て回折光の位相差からオーバーレイを算出します。DBOはIBOより精度が高く(≤0.3nmレンジ)、かつターゲットサイズを小さくできるため先端プロセスでの採用が拡大しています。

オーバーレイ制御のフロー:計測装置(KLA Tencor・ASML(YieldStar)・Nova)でウェハ面内の多点計測→統計モデル(スキャナーモデル)でオフセット・スケール・ローテーション成分等を分解→スキャナーの補正パラメータ(オーバーレイコレクション:OVLコレクション)を自動更新するAPC(Advanced Process Control)ループを回します。EUV工程ではパターン1層あたりの許容オーバーレイが±1nm以下に達する場合もあり、計測精度と制御速度の向上が不可欠です。

先端プロセスでのオーバーレイ要求:3nm世代のロジックではCDRU(臨界寸法制御)とオーバーレイが最も難しいプロセス課題の2大指標とされています。EUV×EUVの層間(例:ビア層→メタル層)ではオーバーレイ許容値±1.5nm以下が典型的で、ArFi×EUVの異種露光機間(Inter-Scanner Overlay)の管理も重要です。オーバーレイ計測装置はKLAコーポレーション(Archer/SpectraShape等)が世界トップシェアを持ち、ASML・Nova・Hitachi High-Techが競っています。

図解

オーバーレイ(重ね合わせ)誤差の原因(露光装置・ウェハのゆがみ・マスク・マーク変形)
先端品では許容値が数nmまで小さくなっている。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツール薄膜応力・ウェハ反り 計算ツール(Stoney の式)計算・換算ツールオーバーレイ・EPE 誤差バジェット計算ツール

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)リソグラフィエンジニア(露光工程)

よくある質問(FAQ)

オーバーレイ誤差が大きいとどうなりますか?
上下層のコンタクトがずれて接続不良(オープン)になったり、隣の配線に接触してショートしたりします。トランジスタ特性のばらつきも生じるため、歩留まりを大きく落とす主要因の一つです。
オーバーレイの要求精度はどのくらいですか?
先端ロジックでは1〜2nm台のオーバーレイ精度が要求されます。マルチパターニングでは各露光ステップの誤差が累積するため、単一露光より一段と厳しい管理が必要になります。
オーバーレイ誤差の原因は何ですか?
露光装置のステージ精度やレンズ収差に加え、ウェハの反りや歪み、成膜・熱処理によるプロセス起因の変形、レチクルの製造誤差などです。計測結果を露光装置へフィードバックする補正で継続的に抑え込みます。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

TWINSCAN NXT:2100iASML・DUV露光装置
NSR-S635Eニコン(Nikon)・DUV露光装置
FPA-5550iZ2キヤノン(Canon)・i線ステッパー
Archer™ 750KLA・オーバーレイ計測装置
PROVision™ 10 eBeam MetrologyApplied Materials・CD-SEM
CV7300日立ハイテク・CD-SEM
TWINSCAN NXT:2150iASML・DUV露光装置
NSR-SF155ニコン(Nikon)・i線ステッパー
FPA-6300ES6aキヤノン(Canon)・DUV露光装置
ATL100™KLA・オーバーレイ計測装置
TWINSCAN NXT:2000iASML・DUV露光装置
NSR-S636Eニコン(Nikon)・DUV露光装置

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ASML「TWINSCAN NXT:2100i 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. ニコン(Nikon)「NSR-S635E 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. キヤノン(Canon)「FPA-5550iZ2 製品ページ」(2026/10/07 確認)