結論:バイポーラ(例:バイポーラトランジスタ)とユニポーラ(例:MOSFET)の違いは?
違いは電流を運ぶキャリアの種類です。バイポーラ(両極性)デバイスは電子と正孔の両方を使って電流を流し、代表はバイポーラトランジスタ(BJT)やIGBT、PNダイオードです。ユニポーラ(単極性)デバイスは電子か正孔のどちらか一方の多数キャリアだけで電流を流し、代表はMOSFETやショットキーバリアダイオードです。バイポーラは大電流を低い損失で流しやすい一方、残ったキャリアの影響でスイッチングが遅くなり、ユニポーラは高速で、MOSFETはゲートに電流をほとんど流さずに電圧で制御できます。
比較表
| 観点 | バイポーラ(例:バイポーラトランジスタ) | ユニポーラ(例:MOSFET) |
|---|---|---|
| 電流を運ぶキャリア | 電子と正孔の両方 | 電子または正孔の一方(多数キャリア) |
| 制御の方法 | ベース電流で制御(電流駆動) | ゲート電圧で制御(電圧駆動) |
| 入力に必要な電流 | ベース電流が常に必要 | ゲートにほぼ流れない(静的には0) |
| スイッチング速度 | 少数キャリアの蓄積で遅くなりやすい | 速い |
| 大電流・高耐圧での損失 | 伝導度変調でオン抵抗を下げやすい | 高耐圧ほどオン抵抗が大きくなる |
| 代表的なデバイス | BJT、HBT、IGBT、サイリスタ、PNダイオード | MOSFET、JFET、HEMT、ショットキーダイオード |
| 主な用途 | 高周波増幅(HBT)、大電力(IGBT)、アナログ | 集積回路(CMOS)、低〜中耐圧の電源 |
集積回路はユニポーラのCMOSが主役
かつてはコンピューターの論理回路もバイポーラトランジスタで作られていましたが、バイポーラはベースに電流を流し続ける必要があり、素子を増やすと消費電力と発熱が大きくなります。MOSFETはゲートが絶縁されていて電流をほとんど流さず、NMOSとPMOSを組み合わせたCMOSは状態が変わるときにしか電力を消費しないため、数十億個の素子を集積できます。そのため現在の集積回路はほぼすべてCMOSで作られています。
パワーデバイスでは両方の長所を使い分ける
高い電圧に耐えるデバイスは、電流の通り道を厚く不純物を少なくする必要があり、ユニポーラのMOSFETではその部分の抵抗が大きくなります。バイポーラのデバイスは、電流を流すと電子と正孔が大量に注入されて抵抗が下がる伝導度変調が起きるため、高耐圧でも損失を小さくできます。IGBTはMOSFETのゲートで制御しながら、この伝導度変調を使う構造で、電圧駆動のしやすさとバイポーラの低い損失を両立しています。一方、SiCのMOSFETは材料の性質で高耐圧でも抵抗を小さくできるため、ユニポーラのまま高速化と低損失を実現しています。
高周波ではバイポーラ系も現役
スマートフォンの送信用の電力増幅器などでは、GaAsやSiGeのヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)が使われています。電流を流せる能力が高く、高い周波数でも利得が得られるためです。同じ高周波の分野でも、GaNのHEMTのようなユニポーラのデバイスが高出力の基地局などで使われ、用途に応じて使い分けられています。