キャリアライフタイム(Carrier Lifetime)とは、光や電流の注入で増えた少数キャリア(N型半導体では正孔、P型では電子)が、多数キャリアと再結合して消えるまでの平均的な時間のことで、少数キャリア寿命とも呼ばれます。記号τ(タウ)で表され、半導体の結晶の品質や汚染の度合いを表す重要な指標です。ライフタイムの間にキャリアが拡散で移動できる平均の距離は拡散長と呼ばれ、L=√(Dτ)(Dは拡散係数)で求められます。
ライフタイムは、再結合の起こりやすさで決まります。シリコンのような間接遷移型の半導体では、光を出して直接再結合することは少なく、主に結晶の欠陥や金属不純物が作るバンドギャップの中の準位(深い準位)を介した再結合(SRH再結合)が支配的です。そのため、鉄などの金属汚染がごく微量でもライフタイムは大きく短くなります。高品質のシリコン結晶ではミリ秒の単位に達しますが、汚染があるとマイクロ秒以下に落ちます。キャリアの密度が非常に高い場合には、3つのキャリアが関わるオージェ再結合も効いてきます。
ライフタイムは、用途によって長いほうが良い場合と、短くしたい場合があります。太陽電池やイメージセンサーでは、光で生まれたキャリアを失わず、暗電流を減らすために長いライフタイムが必要です。一方、高速のダイオードやIGBTでは、オフにするときに残ったキャリアが消えるまで電流が流れ続けてスイッチングが遅くなるため、電子線の照射や白金・金の拡散で意図的にライフタイムを短くします(ライフタイム制御)。製造の管理では、マイクロ波光導電減衰法(μ-PCD)などでウェハのライフタイムを非接触で測り、炉や装置の金属汚染を監視します。