結論:LDO(リニアレギュレータ)とDC-DCコンバータ(スイッチング)の違いは?
違いは電圧の下げ方です。LDOは入力と出力の間のトランジスタで余分な電圧を熱として捨てて出力を一定にするため、構造が簡単で雑音が小さい一方、電圧差が大きいと効率が悪くなります。DC-DCコンバータはトランジスタを高速にオン・オフしてインダクタとコンデンサで電圧を変換するため、効率が高く大きな電流や昇圧にも対応できますが、スイッチングの雑音が出て部品も増えます。電圧差が小さく雑音を嫌う回路にはLDO、効率と電流が重要な回路にはDC-DCを使い、両者を組み合わせることも一般的です。
比較表
| 観点 | LDO(リニアレギュレータ) | DC-DCコンバータ(スイッチング) |
|---|---|---|
| 原理 | トランジスタを可変抵抗として働かせ、余分な電圧を熱にする | トランジスタの高速オン・オフとL・Cで電圧を変換 |
| 効率 | おおむね出力電圧÷入力電圧(電圧差が大きいと低い) | 高い(90%を超えることも多い) |
| 出力の雑音 | 小さい | スイッチングの雑音・リップルがある |
| 昇圧 | できない(降圧のみ) | 降圧・昇圧・昇降圧が可能 |
| 外付け部品 | コンデンサ程度で少ない | インダクタ・コンデンサなどが必要 |
| 発熱 | 電圧差×電流の分が発熱 | 少ない |
| 向いている用途 | 小電流・低雑音(アナログ、RF、センサー) | 大電流・高効率(CPU・GPU、電池機器の主電源) |
LDOの効率は電圧の比で決まる
LDOは、入力と出力の間のトランジスタにかかる電圧(入力−出力)と電流の積を熱として消費します。そのため効率はおおむね出力電圧÷入力電圧で、たとえば5Vから3.3Vを作れば約66%、5Vから1.0Vなら約20%しかありません。逆に、3.6Vから3.3Vのように電圧差が小さければ90%以上の効率になります。LDOのLow Dropoutは、この電圧差が小さくても安定して動作できることを意味し、電池の電圧が下がってきても使える点が利点です。
DC-DCは効率と引き換えに雑音が出る
DC-DCコンバータは、トランジスタを数百kHz〜数MHzでオン・オフし、インダクタにエネルギーを蓄えては放出することで電圧を変換します。電圧差が大きくても効率が高く、大電流を扱うCPUやGPUの電源には欠かせません。一方で、スイッチングに伴う電圧の波打ち(リップル)や高周波の雑音が出るため、高周波回路やアナログ回路、イメージセンサーなど雑音に敏感な回路には、そのままでは使いにくい面があります。
組み合わせて使うのが定番
実際の機器では、まずDC-DCコンバータで電池などの電圧を効率よく下げ、雑音に敏感な回路の直前にLDOを置いて雑音を取り除く、という組み合わせがよく使われます。スマートフォンなどでは、多数のDC-DCとLDOを1チップにまとめた電源管理IC(PMIC)が使われています。選ぶときは、入力と出力の電圧差、必要な電流、許される雑音と発熱、部品の面積とコストを総合的に比べます。