アナログ回路とは、電圧や電流を連続的に変化する量として扱う回路のことです。0と1の2値で情報を扱うデジタル回路に対し、温度・音・光・電波・電力など、現実の世界の連続的な信号を増幅・変換・制御する役割を担います。アナログ回路を集積したICをアナログICと呼び、アナログ半導体の市場はWSTSの統計で年間およそ800億ドル規模あります。
代表的な回路には、信号を増幅するオペアンプ(演算増幅器)、2つの電圧を比べるコンパレータ、アナログ信号とデジタル信号を相互に変換するADコンバータ・DAコンバータ、クロックを作るPLL、無線の送受信を行うRF回路、そして電源電圧を変換・安定化するLDOレギュレータやDC-DCコンバータなどの電源管理IC(PMIC)があります。センサの信号を読み取ってデジタル処理につなぐ部分や、電池や電源から各回路に電力を供給する部分など、ほぼすべての電子機器にアナログ回路が使われています。
アナログ回路はデジタル回路と違い、微細化しても性能が上がりにくいのが特徴です。トランジスタを小さくすると電源電圧が下がって扱える信号の範囲が狭くなり、特性のばらつきや雑音の影響も大きくなるため、アナログICの多くは180nm〜40nm程度の成熟した世代のプロセスや、高耐圧のBCDプロセスで作られます。設計では、SPICEなどの回路シミュレーションで特性を詰めながら、素子の配置や配線まで人手で細かく作り込む部分が多く、経験を持つ設計者の不足が課題です。主なメーカーには、Texas Instruments、Analog Devices、Infineon、STMicroelectronics、ルネサスエレクトロニクスなどがあります。