モールド樹脂(EMC:Epoxy Molding Compound)は、半導体チップを外部環境(湿度・汚染・機械的衝撃・光)から保護するために、後工程で行う封止(モールディング)に使われるエポキシ系の成形材料です。チップとワイヤ、リードフレームや基板を一体に覆い固めることで、パッケージとしての機械的強度と長期信頼性を確保します。ほぼすべての量産パッケージで使われる基幹材料です。
EMCはエポキシ樹脂・硬化剤に加え、熱膨張係数を下げ放熱性を高めるためのシリカフィラーを70〜90重量%という高い比率で含有します。フィラーの粒径・充填率・純度が、CTE整合・反り(ワーページ)・難燃性・熱伝導性を決定づけます。先端パッケージの大判化・薄型化に伴い、低反り・低応力で大面積を均一成形できる材料への要求が高まっています。
成形方法には、加熱した樹脂タブレットを金型へ押し込むトランスファーモールドと、液状・顆粒樹脂をウェハやパネル全面に広げて成形するコンプレッションモールドがあります。WLP/FOWLPやパネルレベルパッケージ(FOPLP)では、大面積を低応力で封止できるコンプレッションモールドの採用が広がっています。
EMCはResonac・住友ベークライト・KCC・Henkelなどが供給する高機能材料分野で、日本メーカーが高いシェアを持ちます。封止後の反り制御やボイド・未充填の抑制は最終歩留まりに直結し、車載・産業向けでは高温信頼性に対応した専用グレードが用いられています。