最終更新 2026-10-19

ICPとは(誘導結合プラズマ)

ICP (Inductively Coupled Plasma)

ICP(誘導結合プラズマ)とは、コイル状アンテナにRF電力を印加して磁場を誘導し、チャンバー内のガスを電離させるプラズマ生成方式です。1〜50mTorrという低圧で10¹¹〜10¹²cm⁻³の高密度プラズマを維持でき、プラズマ密度とイオンエネルギーを独立に制御しやすいのが特長で、低ダメージが求められるエッチング工程に向きます。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)はコイルアンテナのRF誘導でCCPの10〜100倍の高密度プラズマを低圧で生成するエッチング方式。イオンエネルギーとプラズマ密度の独立制御、3D NANDチャネルホール・MEMS深掘りへの応用をわかりやすく解説。

ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)とは、コイル状のアンテナに高周波(RF)電力を印加することで磁場を誘導し、チャンバー内のガスを電離してプラズマを生成する方式です。CCP(容量結合プラズマ)と並ぶ半導体エッチング装置の主要プラズマ源方式であり、より高いプラズマ密度(典型的に10¹¹〜10¹² cm⁻³)を低いチャンバー圧力(1〜50 mTorr)で維持できるのが特長です。

ICPの動作原理は、チャンバー上部に配置したコイルアンテナ(インダクタ)に通常13.56 MHzのRF電力を供給すると、時変磁場が発生し、チャンバー内のガス電子が電磁誘導で加速されてプラズマが生成されます。別途、ウェハを載せた下部電極にバイアスRF電力を印加することで、イオンのウェハへの入射エネルギーを独立に制御できます。これにより「プラズマ密度(エッチング速度)」と「イオンエネルギー(異方性・選択比)」を独立に最適化できることがICPの最大の強みです。

CCPと比較したICPの優位点は、①高プラズマ密度(CCPの10〜100倍)でエッチング速度が高い、②低チャンバー圧力での安定動作でイオンの直進性が増し異方性が高い、③イオンエネルギーとプラズマ密度の独立制御が可能、の3点です。一方、ICPはチャンバー設計が複雑でコストが高く、低圧での均一性制御には高度な設計が必要です。

ICPの半導体製造での主な用途は、高アスペクト比の深溝加工(DRIE:Deep Reactive Ion Etching、Boschプロセスによる数十μmのシリコン深掘り)、FinFETフィン形成、MEMS製造でのシリコン深掘り、GaAsやInPなどの化合物半導体エッチングなどです。ICP-RIEとも呼ばれ、最先端ロジックのゲートエッチングにも採用されています。

ICPエッチング装置の代表メーカーはLam Research(Kiyo:同社はTCPと呼称)、東京エレクトロン(Tactras ICP)、Applied Materials(Centris ICP)、SPTS Technologies(特にMEMS・化合物半導体向け深掘りICP)、Oxford Instrumentsなどです。ICP装置はドライエッチング装置の高機能バリエーションとして需要が拡大しています。

図解

ICP(誘導結合プラズマ)とCCP(容量結合プラズマ)の比較
下地を傷めずに精密に削る工程ではICP、強いイオン衝撃が要る工程ではCCPが選ばれる。

紛らわしい言葉の切り分け

ICPとCCP。違いはプラズマの作り方です。ICPはコイルの誘導電界で高密度のプラズマを作り、プラズマの密度とイオンのエネルギーを別々に制御できるため、導体のエッチングに使われます。CCPは平行平板の電極間でプラズマを作り、強いイオン衝撃を得やすいため、酸化膜など絶縁膜のエッチングに使われます。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールdBm・W・V 換算ツール(RF電力・VSWR)計算・換算ツールプラズマパラメータ計算ツール(デバイ長・シース)

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)エッチングエンジニア(ドライエッチング工程)装置・材料メーカープラズマ技術エンジニア

よくある質問(FAQ)

ICPの利点は何ですか?
1〜50mTorrという低圧で10¹¹〜10¹²cm⁻³の高密度プラズマを維持できることと、プラズマ密度(コイル電力)とイオンエネルギー(バイアス電力)を独立に制御できることです。これにより高いエッチング速度と低ダメージを両立しやすくなります。
ICPはどんな工程で使われますか?
金属エッチング、ポリシリコンエッチング、化合物半導体の加工、MEMSの深堀りエッチング(Boschプロセス)など、低圧・高密度プラズマと低ダメージが求められる工程です。深いシリコン貫通孔の加工にも使われます。
ICPとCCPはどう使い分けますか?
高いイオンエネルギーが必要な高アスペクト比の酸化膜・窒化膜エッチングにはCCP、高密度プラズマと低ダメージが求められる金属・ポリシリコンエッチングにはICPというのが基本です。両者を組み合わせた装置構成もあります。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. サムコ「ドライエッチング装置とは」(2026/10/10 確認)
  2. 精密工学会「高密度プラズマプロセッシングの現状と将来展望(精密工学会誌 73巻9号)」(2026/10/10 確認)