ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)はコイルアンテナのRF誘導でCCPの10〜100倍の高密度プラズマを低圧で生成するエッチング方式。イオンエネルギーとプラズマ密度の独立制御、3D NANDチャネルホール・MEMS深掘りへの応用をわかりやすく解説。
ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)とは、コイル状のアンテナに高周波(RF)電力を印加することで磁場を誘導し、チャンバー内のガスを電離してプラズマを生成する方式です。CCP(容量結合プラズマ)と並ぶ半導体エッチング装置の主要プラズマ源方式であり、より高いプラズマ密度(典型的に10¹¹〜10¹² cm⁻³)を低いチャンバー圧力(1〜50 mTorr)で維持できるのが特長です。
ICPの動作原理は、チャンバー上部に配置したコイルアンテナ(インダクタ)に通常13.56 MHzのRF電力を供給すると、時変磁場が発生し、チャンバー内のガス電子が電磁誘導で加速されてプラズマが生成されます。別途、ウェハを載せた下部電極にバイアスRF電力を印加することで、イオンのウェハへの入射エネルギーを独立に制御できます。これにより「プラズマ密度(エッチング速度)」と「イオンエネルギー(異方性・選択比)」を独立に最適化できることがICPの最大の強みです。
CCPと比較したICPの優位点は、①高プラズマ密度(CCPの10〜100倍)でエッチング速度が高い、②低チャンバー圧力での安定動作でイオンの直進性が増し異方性が高い、③イオンエネルギーとプラズマ密度の独立制御が可能、の3点です。一方、ICPはチャンバー設計が複雑でコストが高く、低圧での均一性制御には高度な設計が必要です。
ICPの半導体製造での主な用途は、高アスペクト比の深溝加工(DRIE:Deep Reactive Ion Etching、Boschプロセスによる数十μmのシリコン深掘り)、3D NAND用の高アスペクト比チャネルホール形成(AR>60:1)、FinFETフィン形成、MEMS製造でのシリコン深掘り、GaAsやInPなどの化合物半導体エッチングなどです。ICP-RIEとも呼ばれ、最先端ロジックのゲートエッチングにも採用されています。
ICPエッチング装置の代表メーカーはLam Research(Flex・Kiyo ICP)、東京エレクトロン(Tactras ICP)、Applied Materials(Centris ICP)、SPTS Technologies(特にMEMS・化合物半導体向け深掘りICP)、Oxford Instrumentsなどです。ICP装置はドライエッチング装置の高機能バリエーションとして需要が拡大しています。