インピーダンス整合器(マッチングネットワーク、マッチングボックス)は、RF電源の出力インピーダンス(通常50Ω)とプラズマ負荷のインピーダンスを一致させ、電力を効率よくプラズマへ投入する回路です。整合が取れていないと電力の大部分が反射波として電源へ戻り、プラズマが不安定になるだけでなく電源自体を損傷させます。
回路は可変コンデンサとコイルによるL型・π型のLC回路で構成されます。プラズマのインピーダンスはガス種・圧力・パワー・チャンバー壁の状態によって刻々と変化するため、反射波を検出しながらモータで可変コンデンサを回し、常に整合点を追い続ける自動整合が基本です。整合完了までの時間(マッチング時間)は数百ms程度が典型で、これがプロセスの立ち上がり時間に加算されます。
パルスプラズマの普及により、機械式の可変コンデンサでは追従できない領域が生まれました。数kHzでオン・オフする負荷変動に応じるため、PINダイオードやスイッチトキャパシタを用いた半導体式の高速マッチング(ソリッドステートマッチ)や、電源側で周波数を微調整して整合を取るフリークエンシーチューニングが採用されています。
整合器はプロセスの「見える化」の要でもあります。整合位置(コンデンサの角度)や反射電力の推移はチャンバー状態を映す指標であり、堆積物の蓄積やライナー消耗が進むと整合点がドリフトします。この値をAPC(先端プロセス制御)で監視し、PM時期の予測や異常検知に使うのが現代的な運用です。
供給はAdvanced Energy・MKS InstrumentsなどRF電源メーカーが電源とセットで担うのが一般的です。ケーブル長やチャンバー構造まで含めた「RF伝送系全体」として設計されるため、装置メーカーとの共同最適化が欠かせません。