最終更新 2026-10-19

KrFとは(フッ化クリプトン露光)

KrF (Krypton Fluoride Lithography)

KrF(フッ化クリプトン)とは、波長248nmのエキシマレーザーを光源とするDUVリソグラフィ技術です。1990年代から2000年代前半にかけて先端ロジックの主力として微細化を牽引しました。現在は先端の座をArFiやEUVに譲りましたが、130nm〜1μmの成熟ノードや先端デバイスの非クリティカル層、アナログ・パワー・RF半導体の製造で現役です。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

KrF(248nm)露光は1990年代から成熟ノード(130nm〜1μm)の主力技術。先端ファブでは非クリティカル層・アナログ・パワー半導体・MEMS向けに現役。ArF・EUVより低コスト(装置価格1/3〜1/5)で中古市場も豊富。ASML・Nikon・Canonをわかりやすく解説。

KrF(Krypton Fluoride:フッ化クリプトン)とは、波長248nmのエキシマレーザーを光源とするDUV(深紫外線)リソグラフィ技術です。1990年代から2000年代前半にかけて先端ロジックの主力技術として半導体産業の微細化を牽引しました。現在は先端プロセスの座をArFiやEUVに譲りましたが、成熟ノード(130nm〜1μm)の量産、先端デバイスのクリティカルでない多数の露光層(Non-Critical Layers)、アナログ・パワー・RF半導体の製造に引き続き不可欠な技術です。

KrF露光の解像度はNA値と露光波長248nmで決まり、一般に解像度限界は250nm〜130nm前後です(プロセス係数k₁=0.35〜0.4として)。ArFiや多重露光との組み合わせによる微細化の発展はなく、基本的に単一露光または二重露光(LELE)程度の適用です。しかし成熟ノードでは十分な解像度であり、コスト・スループット・運用実績の観点からKrFが最適です。

KrFが現在も多用される理由は、①成熟ノード(28nm〜数μm)での量産コストが低い:KrF装置はArFiの1/5〜1/3程度の価格で中古市場も豊富、②先端チップでも非クリティカル層(ディープレイヤー:フィールド酸化膜・N-well・P-well・一部配線等)はKrFで処理できる、③アナログ・電源IC・センサー・MEMSなどの専用ファブ(8インチ・6インチ)ではKrFが主力光源である、④ウェーハ上の全工程100層以上のうちEUV(数層)・ArFi(数十層)で処理しない残りの多くをKrFが担う、です。

KrFレジストは248nm光を吸収する化学増幅型レジスト(CAR)で、ポリヒドロキシスチレン(PHS)系が代表的です。ArFレジストより感度が高く安価であるため、KrFプロセスはコスト面でも有利です。主要レジストサプライヤーはJSR・信越化学・東京応化・Fujifilm・Shin-Etsuなどで、日本企業が世界市場をリードしています。

KrF露光装置の主要メーカーはASML(PAS 5500シリーズ・Twinscan NDシリーズ)、Nikon(NSR-SF150A等)、Canon(FPA-5510iV等)です。KrF装置は既に成熟技術のため新機種開発より保守・アップグレードが主体です。中古KrF装置市場も活況で、中国や成熟ノード専用ファブへの供給が続いています。日本では8インチライン(テキサス・インスツルメンツ・セミコンダクター製造等)でも広く稼働しています。

図解

露光方式ごとの対応寸法の目安(i線・KrF・ArF液浸・EUV)とKrFの位置
1990年代〜2000年代前半は先端ロジックの主力だった。範囲は目安。

紛らわしい言葉の切り分け

ArFとKrF。違いは光源の波長で、ArFは193nm、KrFは248nmです。ArFはレンズとウェハの間に水を満たす液浸露光で解像度を上げられ、先端の層に使われます。KrFは液浸に対応せず、成熟ノードや先端品の重要でない層で使われています。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

データ露光光源の波長一覧(g線〜EUV)計算・換算ツール露光解像度・焦点深度 計算ツール(レーリーの式)計算・換算ツールeV↔波長 換算ツール(バンドギャップ・露光波長)

この用語を扱う職種

装置・材料メーカー光学設計エンジニア(露光・検査装置)

よくある質問(FAQ)

KrFは今でも使われていますか?
使われています。130nm〜1μmの成熟ノード量産に加え、先端デバイスでも解像度が要求されない非クリティカル層で現役です。車載・パワー半導体・アナログIC・マイコン・MEMSなど、微細化より信頼性とコストが重要な領域では主力です。
KrFとArFはどう使い分けますか?
必要な解像度とコストで決まります。250nm〜130nm程度のパターンであればKrFで十分でコストも安く、それより微細な層にArF(必要なら液浸)を使います。1つのチップでも層ごとに露光装置を使い分けるのが一般的です。
KrFレーザーの維持コストはどうですか?
エキシマレーザーはガス(KrとF₂)を消費し、チャンバーや光学部品も定期交換が必要なため、消耗品と保守が運用コストの中心になります。ただしEUVに比べれば桁違いに安価で、装置自体も減価償却が進んだ中古機が流通しています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ニコン(Nikon)「NSR-S220D 製品ページ」(2026/10/07 確認)