KrF(248nm)露光は1990年代から成熟ノード(130nm〜1μm)の主力技術。先端ファブでは非クリティカル層・アナログ・パワー半導体・MEMS向けに現役。ArF・EUVより低コスト(装置価格1/3〜1/5)で中古市場も豊富。ASML・Nikon・Canonをわかりやすく解説。
KrF(Krypton Fluoride:フッ化クリプトン)とは、波長248nmのエキシマレーザーを光源とするDUV(深紫外線)リソグラフィ技術です。1990年代から2000年代前半にかけて先端ロジックの主力技術として半導体産業の微細化を牽引しました。現在は先端プロセスの座をArFiやEUVに譲りましたが、成熟ノード(130nm〜1μm)の量産、先端デバイスのクリティカルでない多数の露光層(Non-Critical Layers)、アナログ・パワー・RF半導体の製造に引き続き不可欠な技術です。
KrF露光の解像度はNA値と露光波長248nmで決まり、一般に解像度限界は250nm〜130nm前後です(プロセス係数k₁=0.35〜0.4として)。ArFiや多重露光との組み合わせによる微細化の発展はなく、基本的に単一露光または二重露光(LELE)程度の適用です。しかし成熟ノードでは十分な解像度であり、コスト・スループット・運用実績の観点からKrFが最適です。
KrFが現在も多用される理由は、①成熟ノード(28nm〜数μm)での量産コストが低い:KrF装置はArFiの1/5〜1/3程度の価格で中古市場も豊富、②先端チップでも非クリティカル層(ディープレイヤー:フィールド酸化膜・N-well・P-well・一部配線等)はKrFで処理できる、③アナログ・電源IC・センサー・MEMSなどの専用ファブ(8インチ・6インチ)ではKrFが主力光源である、④ウェーハ上の全工程100層以上のうちEUV(数層)・ArFi(数十層)で処理しない残りの多くをKrFが担う、です。
KrFレジストは248nm光を吸収する化学増幅型レジスト(CAR)で、ポリヒドロキシスチレン(PHS)系が代表的です。ArFレジストより感度が高く安価であるため、KrFプロセスはコスト面でも有利です。主要レジストサプライヤーはJSR・信越化学・東京応化・Fujifilm・Shin-Etsuなどで、日本企業が世界市場をリードしています。
KrF露光装置の主要メーカーはASML(PAS 5500シリーズ・Twinscan NDシリーズ)、Nikon(NSR-SF150A等)、Canon(FPA-5510iV等)です。KrF装置は既に成熟技術のため新機種開発より保守・アップグレードが主体です。中古KrF装置市場も活況で、中国や成熟ノード専用ファブへの供給が続いています。日本では8インチライン(テキサス・インスツルメンツ・セミコンダクター製造等)でも広く稼働しています。