ArF(193nm)露光はドライ(NA<1)と液浸ArFi(NA=1.35:純水)の2方式。SADPやSAQPと組み合わせ7〜10nmノードまで対応。EUV導入後も1チップ100工程超の露光の大部分を担う主力技術。ASML NXT:2100i(305 WPH)・Nikon・Canonの装置をわかりやすく解説。
ArF(Argon Fluoride:フッ化アルゴン)とは、波長193nmのエキシマレーザーを光源とするDUV(深紫外線)リソグラフィ技術です。ArF露光はKrF(248nm)より短い波長により高い解像度を実現し、特に「ArFi(ArF液浸露光)」として純水を介してNA>1を達成することで、45nm〜7nm前後の先端プロセスノードを支えてきた主力リソグラフィ技術です。EUVが普及した現在も、先端ファブでの非クリティカル層と成熟ノードの量産を担う不可欠な技術です。
ArFドライ露光(ArF Dry)は193nm光をそのまま使い、ドライ環境(空気・窒素)でNA<1の露光を行います。解像度は90nm前後が限界となります。ArFi(ArF Immersion:ArF液浸露光)は、投影レンズとウェハの間に純水(屈折率n=1.44)を満たし、実効NA=n×sinθで1.0を超えるNA(最大1.35)を実現します。NAが高くなるほど解像度R=k₁×λ/NAが向上し、45nmから始まり多重露光(SADP/SAQP)と組み合わせることで7nm・10nmノードまで対応できます。
ArFレジスト(化学増幅型レジスト:CAR)はArF波長193nmを吸収し、露光後のPEB(Post Exposure Bake)で酸触媒反応を起こして現像液への溶解性が変化します。ArFレジストはKrFレジストよりアクリレート系樹脂が主流で、高解像度・低LWR(ラインエッジラフネス)が求められます。JSR・信越化学・東京応化(TOK)・Fujifilm・Dongjin Semichem(韓国)などが主要サプライヤーです。
ArFiで使われるマルチパターニング技術は、解像度向上の核心です。SADP(Self-Aligned Double Patterning:自己整合型二重パターニング)はスペーサー技術でパターンピッチを1/2に削減、SAQPはさらに1/4、LELELE(Litho-Etch-Litho-Etch-Litho-Etch)は3回の露光でパターンを形成します。これらによりArFi(λ/NA=193/135=143nm)でも14nmハーフピッチ以下の回路形成が実現します。先端7nmロジックでは全露光工程の70〜80%以上をArFiが担います。
ArF露光装置の主要メーカーはASML(NXT:2100i:最大305 WPH・NA=1.35が最新フラッグシップ)、Nikon(NSR-S635E等)、Canon(FPA-8300iZ等)です。ArFiの世界出荷台数はEUVよりも圧倒的に多く、2020年代においても年間数百台が出荷されています。日本の半導体ファブ(ルネサス・キオクシア・ソニー・Rapidus)でも多数稼働中です。