最終更新 2026-10-19

ArFとは(フッ化アルゴン露光)

ArF (Argon Fluoride Lithography)

ArF(フッ化アルゴン)とは、波長193nmのエキシマレーザーを光源とするDUVリソグラフィ技術です。KrF(248nm)より短い波長で高い解像度を実現し、特に純水を介してNAを1以上に高めるArF液浸(ArFi)として、45nm〜7nm前後の先端ノードを支えてきました。EUV普及後も非クリティカル層と成熟ノードの量産に不可欠です。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

ArF(193nm)露光はドライ(NA<1)と液浸ArFi(NA=1.35:純水)の2方式。SADPやSAQPと組み合わせ7〜10nmノードまで対応。EUV導入後も1チップ100工程超の露光の大部分を担う主力技術。ASML NXT:2100i(305 WPH)・Nikon・Canonの装置をわかりやすく解説。

ArF(Argon Fluoride:フッ化アルゴン)とは、波長193nmのエキシマレーザーを光源とするDUV(深紫外線)リソグラフィ技術です。ArF露光はKrF(248nm)より短い波長により高い解像度を実現し、特に「ArFi(ArF液浸露光)」として純水を介してNA>1を達成することで、45nm〜7nm前後の先端プロセスノードを支えてきた主力リソグラフィ技術です。EUVが普及した現在も、先端ファブでの非クリティカル層と成熟ノードの量産を担う不可欠な技術です。

ArFドライ露光(ArF Dry)は193nm光をそのまま使い、ドライ環境(空気・窒素)でNA<1の露光を行います。解像度は90nm前後が限界となります。ArFi(ArF Immersion:ArF液浸露光)は、投影レンズとウェハの間に純水(屈折率n=1.44)を満たし、実効NA=n×sinθで1.0を超えるNA(最大1.35)を実現します。NAが高くなるほど解像度R=k₁×λ/NAが向上し、45nmから始まり多重露光(SADP/SAQP)と組み合わせることで7nm・10nmノードまで対応できます。

ArFレジスト(化学増幅型レジスト:CAR)はArF波長193nmを吸収し、露光後のPEB(Post Exposure Bake)で酸触媒反応を起こして現像液への溶解性が変化します。ArFレジストはKrFレジストよりアクリレート系樹脂が主流で、高解像度・低LWR(ラインエッジラフネス)が求められます。JSR・信越化学・東京応化(TOK)・Fujifilm・Dongjin Semichem(韓国)などが主要サプライヤーです。

ArFiで使われるマルチパターニング技術は、解像度向上の核心です。SADP(Self-Aligned Double Patterning:自己整合型二重パターニング)はスペーサー技術でパターンピッチを1/2に削減、SAQPはさらに1/4、LELELE(Litho-Etch-Litho-Etch-Litho-Etch)は3回の露光でパターンを形成します。これらによりArFi(λ/NA=193/135=143nm)でも14nmハーフピッチ以下の回路形成が実現します。先端7nmロジックでは全露光工程の70〜80%以上をArFiが担います。

ArF露光装置の主要メーカーはASML(NXT:2100i:最大305 WPH・NA=1.35が最新フラッグシップ)、Nikon(NSR-S635E等)、Canon(FPA-8300iZ等)です。ArFiの世界出荷台数はEUVよりも圧倒的に多く、2020年代においても年間数百台が出荷されています。日本の半導体ファブ(ルネサス・キオクシア・ソニー・Rapidus)でも多数稼働中です。

図解

ArFドライ露光とArF液浸露光の比較(媒質・開口数・世代)
波長193nmのフッ化アルゴンエキシマレーザーを光源とするDUV露光。

紛らわしい言葉の切り分け

ArFとKrF。違いは光源の波長で、ArFは193nm、KrFは248nmです。ArFはレンズとウェハの間に水を満たす液浸露光で解像度を上げられ、先端の層に使われます。KrFは液浸に対応せず、成熟ノードや先端品の重要でない層で使われています。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

データ露光光源の波長一覧(g線〜EUV)計算・換算ツール露光解像度・焦点深度 計算ツール(レーリーの式)計算・換算ツールeV↔波長 換算ツール(バンドギャップ・露光波長)

この用語を扱う職種

装置・材料メーカー光学設計エンジニア(露光・検査装置)

よくある質問(FAQ)

ArFとArF液浸(ArFi)はどう違いますか?
ArF(ドライ)は投影レンズとウェハの間が空気でNAは最大0.93程度、解像度は90nm前後です。ArF液浸は間を純水で満たすことでNAを1.35まで高められ、マルチパターニングと併用すれば7nm前後のノードまで対応できます。
ArFはどのノードまで使えますか?
ArF液浸の単一露光では38nm前後のハーフピッチが限界ですが、SADP・SAQPといったマルチパターニングを併用することで、実質的に10nm台のピッチまで形成できます。ただし工程数が増え、コストとオーバーレイ精度が課題になります。
ArF用レジストの特徴は何ですか?
193nmの光を透過させる必要があるため、KrF用に使われていた芳香環を含む樹脂が使えず、アクリル系や脂環式の樹脂が開発されました。化学増幅型レジストが標準で、液浸露光ではさらに水への溶出(リーチング)を防ぐ設計が求められます。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

NSR-S333Fニコン(Nikon)・DUV露光装置
NSR-S322Fニコン(Nikon)・DUV露光装置

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

EUV露光・リソグラフィ のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

カール・ツァイスSMT(Carl Zeiss SMT)ドイツコーニング・トロペル(Corning Tropel)米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ニコン(Nikon)「NSR-S333F 製品ページ」(2026/10/07 確認)