最終更新 2026-10-10

NAとは(開口数)

NA (Numerical Aperture)

NA(開口数)とは、レンズが集光できる光の角度範囲を表す無次元の指標で、NA=n×sinθ(nは媒質の屈折率、θは最大半角)で定義されます。リソグラフィでは解像度を決める最重要パラメータで、解像度R=k₁×λ/NAの関係からNAが大きいほど微細なパターンを形成できます。ArF液浸で1.35、High-NA EUVで0.55が実用値です。

目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

NA(Numerical Aperture:開口数)=n×sinθで定義される露光装置の解像度指標。ArFiはNA=1.35(純水n=1.44)・EUVはNA=0.33・High-NA EUVはNA=0.55。解像度R=k₁×λ/NAと焦点深度DOF=k₂×λ/NA²のトレードオフをわかりやすく解説。

NA(Numerical Aperture:開口数)とは、光学システム(レンズや対物鏡)が集光できる光の角度範囲を表す無次元の指標であり、半導体リソグラフィ(露光装置)において解像度を決定する最も重要なパラメータの一つです。NAは「NA=n×sinθ(n:媒質の屈折率、θ:最大半角)」で定義されます。NAが高いほど光を細かく絞れるため、より微細なパターンを形成できます。

解像度と焦点深度(DOF:Depth of Focus)はNAに強く依存します。解像度R=k₁×λ/NA(k₁:プロセス係数、λ:波長)の式から、NAが高いほど解像度が向上します。しかし焦点深度DOF=k₂×λ/NA²はNAの2乗に反比例して急激に低下するため、NAを高くするほどウェハ表面の平坦性管理が厳しくなります。NA=1.35のArFi液浸と比べ、NA=0.55のHigh-NA EUVでは同じ波長比較でDOFが(0.55/1.35)²≒1/6になる懸念があり、ウェハ・レチクルの平坦度管理が課題となります。

NA=1の壁と液浸露光:ドライ露光(媒質は空気:n=1.0)では物理的にNA<1が限界です(sinθは1を超えられないため)。ArFi液浸露光は媒質を純水(n=1.44)にすることでNA=n×sinθ=1.44×sinθとなり、理論最大NA=1.44が実現します。実際のASML NXT:2100iはNA=1.35を達成しています。さらに高屈折率液体(n>1.5)を使えばNAをさらに上げられますが、実用化には至っていません。

EUV露光でのNA:EUV(波長13.5nm)は反射光学系を使うため、「NA=sinθ(真空中:n=1)」です。従来EUV(ASML NXE:3600D/3800E)はNA=0.33で、解像度ハーフピッチは約13nm(k₁=0.33時)です。High-NA EUV(ASML EXE:5000/5200)はNA=0.55に引き上げ、解像度は約8nmハーフピッチに向上します。ただしNA=0.55の実現にはアナモルフィック光学系(4x×8xの非対称縮小)が必要で、マスク設計の非互換性という課題も生じます。

NAと関連する概念:「σ(コヒーレンスファクター)」は光源の部分コヒーレンスを表し、解像度・DOFに影響します。「OAI(オフアクシス照明)」はDipole・Quasar・Annular等の特殊照明形状でk₁を低減し実効解像度を向上させます。露光装置のNAはレンズ設計の複雑さとコストに直結し、NA=1.35のArFiレンズは製造難度が極めて高く、最先端光学メーカー(Carl Zeiss等)が独占的に供給しています。

図解

露光装置の開口数(NA)の比較(EUV・High-NA EUV・ArFドライ・ArF液浸)
NAは波長と組み合わせて見る。EUVとArFでは光学系がまったく違う。

関連するデータ・ツール

データ露光光源の波長一覧(g線〜EUV)計算・換算ツール露光解像度・焦点深度 計算ツール(レーリーの式)計算・換算ツールeV↔波長 換算ツール(バンドギャップ・露光波長)

この用語を扱う職種

装置・材料メーカー光学設計エンジニア(露光・検査装置)

よくある質問(FAQ)

NAが大きいと何が良いのですか?
解像度がR=k₁×λ/NAで表されるため、NAが大きいほど細かいパターンを形成できます。より広い角度の回折光を取り込めるようになるためで、High-NA EUVがNAを0.33から0.55へ引き上げたのもこの理由です。
NAを大きくするデメリットは何ですか?
焦点深度がDOF=k₂×λ/NA²とNAの2乗に反比例して浅くなることです。焦点深度が浅いとウェハの平坦性やレジスト膜厚のわずかなばらつきでもピントが外れるため、平坦化(CMP)や膜厚制御の要求が厳しくなります。またレンズが大型化しコストも上がります。
なぜ液浸でNAが1を超えられるのですか?
NA=n×sinθのnが媒質の屈折率だからです。空気ではn≒1のためsinθが1未満である限りNAは1を超えられませんが、純水(n=1.44)を挟むとnが増えるぶんNAを1.35まで高められます。

設備の製造メーカー

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ASML「The Rayleigh criterion」(2026/10/10 確認)
  2. ASML「TWINSCAN NXT:2000i」(2026/10/10 確認)