NA(Numerical Aperture:開口数)=n×sinθで定義される露光装置の解像度指標。ArFiはNA=1.35(純水n=1.44)・EUVはNA=0.33・High-NA EUVはNA=0.55。解像度R=k₁×λ/NAと焦点深度DOF=k₂×λ/NA²のトレードオフをわかりやすく解説。
NA(Numerical Aperture:開口数)とは、光学システム(レンズや対物鏡)が集光できる光の角度範囲を表す無次元の指標であり、半導体リソグラフィ(露光装置)において解像度を決定する最も重要なパラメータの一つです。NAは「NA=n×sinθ(n:媒質の屈折率、θ:最大半角)」で定義されます。NAが高いほど光を細かく絞れるため、より微細なパターンを形成できます。
解像度と焦点深度(DOF:Depth of Focus)はNAに強く依存します。解像度R=k₁×λ/NA(k₁:プロセス係数、λ:波長)の式から、NAが高いほど解像度が向上します。しかし焦点深度DOF=k₂×λ/NA²はNAの2乗に反比例して急激に低下するため、NAを高くするほどウェハ表面の平坦性管理が厳しくなります。NA=1.35のArFi液浸と比べ、NA=0.55のHigh-NA EUVでは同じ波長比較でDOFが(0.55/1.35)²≒1/6になる懸念があり、ウェハ・レチクルの平坦度管理が課題となります。
NA=1の壁と液浸露光:ドライ露光(媒質は空気:n=1.0)では物理的にNA<1が限界です(sinθは1を超えられないため)。ArFi液浸露光は媒質を純水(n=1.44)にすることでNA=n×sinθ=1.44×sinθとなり、理論最大NA=1.44が実現します。実際のASML NXT:2100iはNA=1.35を達成しています。さらに高屈折率液体(n>1.5)を使えばNAをさらに上げられますが、実用化には至っていません。
EUV露光でのNA:EUV(波長13.5nm)は反射光学系を使うため、「NA=sinθ(真空中:n=1)」です。従来EUV(ASML NXE:3600D/3800E)はNA=0.33で、解像度ハーフピッチは約13nm(k₁=0.33時)です。High-NA EUV(ASML EXE:5000/5200)はNA=0.55に引き上げ、解像度は約8nmハーフピッチに向上します。ただしNA=0.55の実現にはアナモルフィック光学系(4x×8xの非対称縮小)が必要で、マスク設計の非互換性という課題も生じます。
NAと関連する概念:「σ(コヒーレンスファクター)」は光源の部分コヒーレンスを表し、解像度・DOFに影響します。「OAI(オフアクシス照明)」はDipole・Quasar・Annular等の特殊照明形状でk₁を低減し実効解像度を向上させます。露光装置のNAはレンズ設計の複雑さとコストに直結し、NA=1.35のArFiレンズは製造難度が極めて高く、最先端光学メーカー(Carl Zeiss等)が独占的に供給しています。