ウェハ平坦度とは、ウェハ表面の高さがどれだけ揃っているかを表す品質指標群です。リソグラフィの焦点深度(DOF)が数十nmまで浅くなった現在、ウェハのわずかな凹凸が露光時のデフォーカスを引き起こしてパターン不良につながるため、平坦度はウェハ仕様の中でも最重要項目の一つです。
指標は測定範囲によって使い分けられます。GBIR(Global Backside Ideal Range、旧TTV)はウェハ全面での厚みの最大差を表す全体指標です。TTV(Total Thickness Variation)は同義で使われる古い呼称で、最大厚さと最小厚さの差を指します。これらは搬送や保持の観点では有用ですが、露光の可否を判断するには粗すぎます。
実際に露光を左右するのは局所平坦度です。SFQR(Site Front least-sQuares Range)は、露光ショットに相当する矩形サイト(例:26×8mm)ごとに、表面を最小二乗平面で近似したときの上下の変動幅を表します。全サイトのSFQR最大値が規格内に収まることが求められ、先端ロジック向け300mmウェハでは数十nmオーダーの管理になります。SBIR(サイト内の裏面基準の変動)も併用されます。
平坦度が作り込まれるのは、スライス→ラッピング/両面研削→両面研磨(DSP)の流れです。特にDSPはウェハを拘束せずに加工するため、裏面形状の転写を避けて局所平坦度を高められます。一方、エッジ付近は研磨圧の分布が乱れて「エッジロールオフ」と呼ばれるだれが生じやすく、外周数mmを規格対象から除外(EE:Edge Exclusion)する運用が一般的です。
測定には静電容量式またはレーザー干渉式の平坦度測定装置が使われ、ウェハを自由支持した状態で表裏の形状を同時に取得します。似た指標に反り(Bow・Warp)がありますが、こちらは自由状態でのウェハ全体の湾曲を表すもので、吸着すれば矯正される点が平坦度と異なります。