スーパージャンクション(SJ)構造とは、ドリフト層にp型とn型の柱(ピラー)を交互に並べ、オフ時に互いを空乏化させることで電界を均一に分布させるパワーMOSFETの構造です。1990年代に考案され、シリコンのまま「オン抵抗と耐圧のトレードオフ限界(シリコンリミット)」を超えることを可能にしました。
通常のMOSFETでは、耐圧を上げるためにドリフト層の不純物濃度を下げる必要があり、それがオン抵抗の増大に直結します。SJ構造では、pピラーとnピラーの電荷が互いに打ち消し合って空乏化するため、nピラーの濃度を高くしたまま高耐圧を保てます。結果として、同耐圧でオン抵抗を数分の1に下げられます。
製造は容易ではありません。深いトレンチを掘ってエピタキシャル成長で埋め戻す方式や、エピ成長とイオン注入を何度も繰り返してピラーを積み上げる方式(マルチエピ)が使われ、いずれも工程数が多くコストが高くなります。またpとnの電荷バランスがずれると耐圧が急激に落ちるため、濃度制御の精度が歩留まりを左右します。
SJ MOSFETは主に600〜900V級で使われ、サーバー電源、太陽光パワコン、エアコンのPFC回路などに広く採用されています。この電圧帯はSiCと競合する領域でもあり、コストと性能のバランスで棲み分けが進んでいます。