結論:バーンインとHTOL(高温動作寿命試験)の違いは?
同じ高温・高電圧のストレスをかけますが、目的が正反対です。バーンインは初期不良を出荷前に炙り出して取り除くスクリーニング工程で、全数または抜取りで実施し、成果物は「不良を除去した出荷品」です。HTOLは摩耗故障の到来時期を推定する評価試験で、少数サンプルを1,000時間級の長時間ストレスにさらし、成果物は「寿命とFITの推定値」です。バスタブ曲線の左端を削るのがバーンイン、右端の位置を測るのがHTOLと考えると整理できます。
比較表
| 観点 | バーンイン | HTOL(高温動作寿命試験) |
|---|---|---|
| 目的 | 初期不良のスクリーニング(除去) | 寿命・FITの推定(評価) |
| バスタブ曲線での位置 | 左端(初期故障期)を削り取る | 右端(摩耗故障期)の到来時期を測る |
| 対象数 | 全数または抜取り(量産工程の一部) | 少数サンプル(認定試験) |
| 成果物 | 不良を除去した出荷品 | 寿命推定値・FIT・認定レポート |
| 典型条件 | 125℃前後・数時間〜数十時間 | 125℃前後・1,000時間級 |
| 判定 | 個体ごとの合否(動かなくなったら除去) | 特性変動が規格内か・故障数から寿命を算出 |
| 実施タイミング | 量産中、出荷前の工程として継続的に | 新製品・新プロセス立ち上げ時とプロセス変更時 |
| コストの性格 | 製品原価に直接乗る | 開発・認定費用(製品原価には乗りにくい) |
バスタブ曲線で見ると位置づけがはっきりする
半導体の故障率を時間軸に描くと、初期に高く、中間で安定し、末期に再上昇するバスタブ型になります。初期の高い部分は製造時の潜在欠陥を抱えた個体によるもので、これを顧客に渡す前に自社で壊しきってしまうのがバーンインです。一方、末期の再上昇はTDDBやエレクトロマイグレーションといった摩耗機構によるもので、その到来が製品寿命より後であることを確認するのがHTOLです。同じストレスを使いながら、狙う期間が正反対にあります。
全数か、サンプルか
バーンインは個々の製品から不良を取り除く工程なので、原則として出荷する全数(あるいは統計的に妥当な抜取り)に対して実施します。当然その時間はそのまま製造リードタイムとコストに乗ります。HTOLは母集団の性質を推定する試験なので、数十〜百個程度のサンプルで足り、新プロセスや新製品の立ち上げ時、あるいはプロセス変更時に実施すれば十分です。この違いが、装置構成と運用の違いにも表れます。
バーンインを減らす方向へ
バーンインは確実な手法ですが、時間とコストがかかるうえ、良品にもストレスを与えるという副作用があります。そのため近年は、テストデータの統計解析で潜在不良を見つけるPATやアダプティブテストによって、バーンイン時間を短縮あるいは対象を絞り込む方向が模索されています。一方でHTOLは、新プロセスの信頼性を担保する手段として代替が効かず、車載など高信頼用途では条件がむしろ厳しくなっています。