温度サイクル試験とは、デバイスを低温と高温の間で繰り返し往復させ、熱膨張差によって生じる機械的ストレスへの耐性を評価する試験です。-55℃から+125℃といった条件で数百〜数千サイクルを課すのが一般的で、車載用途ではより広い温度範囲と多いサイクル数が要求されます。
この試験が狙うのは、電気的な劣化ではなく構造的な破壊です。シリコンダイ・モールド樹脂・リードフレーム・はんだ・基板は熱膨張係数がそれぞれ異なるため、温度が変わるたびに接合部へ応力がかかります。これが繰り返されると、はんだ接合部の疲労クラック、ワイヤボンドの剥離(ヒールクラック)、ダイアタッチ材の剥離、パッケージ内部の層間剥離(デラミネーション)といった不良が進行します。
先端パッケージほど厳しい試験になります。フリップチップではバンプとアンダーフィルに応力が集中し、TSVを使う3D積層では上下のダイ間で応力が複雑に分布します。シリコンインターポーザや大型パッケージでは、反りの繰り返しが接合部の寿命を決めます。パッケージ設計と材料選定の妥当性は、最終的にこの試験で検証されます。
評価は電気的な導通チェックと、非破壊の内部観察を組み合わせて行います。試験の途中で抵抗値の上昇や断線を監視し、超音波顕微鏡(SAT)で剥離やクラックの発生を画像として捉えます。破壊解析まで進む場合は断面研磨してクラックの起点を特定します。
類似の試験に熱衝撃試験(サーマルショック)があり、こちらは液槽などを使って温度変化をさらに急峻にした過酷な条件です。温度サイクルが実使用に近い緩やかな変化を模擬するのに対し、熱衝撃は短時間で弱点を暴くスクリーニング的な位置づけになります。装置はESPECなどが供給します。