バスタブ曲線とは、製品の故障率を時間軸に沿って描いたときに現れる、浴槽の断面のような形状の曲線です。使用初期に故障率が高く(初期故障期)、その後は低く安定し(偶発故障期)、寿命末期に再び上昇する(摩耗故障期)という3つの期間で構成されます。半導体の信頼性設計と品質保証は、この3期間それぞれに異なる手立てを打つという形で組み立てられています。
初期故障は、製造時の潜在欠陥を抱えた個体が早期に壊れるものです。これは出荷前にバーンインで高温・高電圧のストレスをかけ、意図的に故障させて取り除きます(スクリーニング)。曲線の左肩を出荷前に削り落としてから顧客へ渡す、という考え方です。
偶発故障期の故障率を表す単位がFIT(Failures In Time)で、10億デバイス時間あたりの故障数と定義されます。1 FITは10億時間に1個の故障、つまりMTBF(平均故障間隔)に換算すると約11万4千年に相当します。車載や産業機器では製品ごとに目標FITが定められ、システム全体の機能安全(ISO 26262など)の計算にも使われます。
摩耗故障期は、TDDB・NBTI・HCI・エレクトロマイグレーションといった物理的な劣化機構が蓄積した結果として訪れます。この時期が製品の想定寿命より前に来ないことを確認するのがHTOLなどの加速寿命試験の役割で、試験結果をアレニウス則で換算して寿命を推定します。
つまり、バーンイン・FIT管理・HTOLという一見バラバラな取り組みは、すべてこの1本の曲線のどこを扱っているかで整理できます。初期故障を落とし、偶発故障率を規定値以下に抑え、摩耗故障の到来を寿命の外へ押し出す——信頼性活動の全体像を示す共通の枠組みです。