SOI(Silicon On Insulator)は、シリコン基板の上に埋め込み酸化膜(BOX:Buried Oxide)を挟み、その上の薄いシリコン層にトランジスタを形成する基板技術です。素子が下地基板から絶縁分離されるため、接合容量の低減・リーク抑制・ラッチアップ耐性・耐放射線性に優れ、通常のバルクシリコンとは異なる利点を持ちます。
SOIには、シリコン層が厚く一部だけ空乏化する部分空乏型(PD-SOI)と、極薄シリコン層が全体空乏化する完全空乏型(FD-SOI)があります。FD-SOIはチャネルのドーピングをほぼ不要にでき、短チャネル効果を抑えつつボディバイアスでしきい値電圧を動的制御できるため、低消費電力IoT・車載MCU・5G RFに適します。
SOIの主な利点は、寄生容量の低減による高速化と低消費電力、ソフトエラー耐性の高さです。STMicroelectronicsやGlobalFoundries(22FDX)がFD-SOIを量産し、RF-SOIはスマートフォンの高周波スイッチ・アンテナチューナで世界的に使われています。FinFETとは微細化のアプローチが異なる選択肢として共存しています。
SOIウェハの製造は、Soitecが特許を持つSmartCut™(水素イオン注入+貼り合わせ+剥離)や貼り合わせ法(BSOI)で行われます。完全空乏型SOIはfdsoiの項、化合物との違いはsilicon-waferの項とあわせて理解すると、基板技術全体の位置づけが明確になります。