FD-SOI(Fully Depleted Silicon-On-Insulator:完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)は、薄い埋め込み酸化膜(BOX層)上に超薄のシリコン活性層(チャネル層、厚さ数nm)を形成するMOSFETトランジスタ技術です。チャネル下の絶縁膜がキャリアのリーク経路を遮断して完全空乏化を実現し、ショートチャネル効果を抑制します。STMicroelectronics・Samsung Foundryが28nm・22nmノードで量産しており、IoT・車載・5G RFフロントエンド向けチップで広く採用されています。
FD-SOIの最大の特徴はボディバイアス(BB)技術です。BOX層の下の基板に電圧を印加することで、トランジスタの閾値電圧(Vth)をダイナミックに制御できます。フォワードボディバイアス(FBB)で性能を引き上げ、リバースボディバイアス(RBB)で超低消費電力モードに切り替えることが可能で、FinFETやGAAでは困難なVthの動的制御を実現します。省電力IoT・ウェアラブル・エッジAIデバイスで高く評価されています。
FinFETとFD-SOIの選択は用途・コスト・ノードによって異なります。FinFETは5nm以下の最先端・高性能・高集積デバイスに最適で、FD-SOIは22〜28nmノードの低消費電力・アナログRF混在デバイスに競争力を持ちます。製造コストもFinFETより低い傾向があり、Bluetooth・NFC・ウェアラブルMCU・車載マイコン・5G通信フロントエンドICに適しています。FinFETとの比較はfinfet-vs-fdsoi、GAAとの比較はfinfet-vs-gaaの記事も参照してください。