シリコンウェハ製造とは、高純度の多結晶シリコンを原料として単結晶インゴットを育成し、それをスライス・研磨してデバイス製造に使える鏡面ウェハに仕上げるまでの一連の工程です。半導体の前工程(ファブでの回路形成)が始まる前段階にあたり、ウェハメーカー(信越半導体・SUMCO・GlobalWafers・Siltronic・SK Siltron)が担う独立した産業領域です。
工程は大きく4つの段階に分かれます。①結晶成長:石英ルツボ内でシリコンを溶かし、種結晶から単結晶インゴットを引き上げます(CZ法)。パワーデバイス用の高抵抗・低酸素ウェハにはルツボを使わないFZ法が使われます。②外形加工:インゴットの外周を研削して直径を揃え、結晶方位を示すノッチ(またはオリフラ)を刻み、ワイヤーソーで薄くスライスします。
③平坦化・研磨:スライス直後のウェハは加工変質層と反りを持つため、ラッピング(またはグラインディング)で厚みと平坦度を整え、エッチングで加工ダメージ層を除去し、両面研磨(DSP)と最終仕上げ研磨(CMP)で鏡面に仕上げます。エッジ部も専用の研磨で滑らかにし、割れとパーティクルの起点を潰します。④仕上げ:最終洗浄後、パーティクル・平坦度・欠陥を全数検査し、レーザーマーキングでIDを刻んでFOSBに収めて出荷されます。
この工程で作り込まれる品質指標は、デバイスの歩留まりに直結します。平坦度(TTV・SFQR)はリソグラフィの焦点余裕を、ナノトポグラフィはCMPの均一性を、反り(Bow・Warp)は搬送と露光時の吸着を、格子間酸素濃度はゲッタリング能力と機械的強度を、COPなどの結晶欠陥はゲート絶縁膜の耐圧を、それぞれ左右します。ウェハは「ただの円板」ではなく、数十項目の仕様で管理される精密部材です。
用途に応じてウェハの種類も分かれます。研磨したままのポリッシュドウェハ、その上に単結晶層を成長させたエピタキシャルウェハ、水素/Arアニールで表層の欠陥を消したアニールウェハ、絶縁膜を挟んだSOIウェハ、テスト用に再生したリクレームウェハなどがあり、さらにSiC・GaN・サファイアといった化合物基板がパワー半導体やLED向けに別系統で製造されています。