結論:FOSB(出荷用)とFOUP(ファブ内搬送用)の違いは?
FOSBとFOUPの最大の違いは「どこで使うか」です。FOUPはファブ内の自動搬送(AMHS)用で、天面にOHTが掴むロボティックフランジを持ち、繰り返し使用に耐える高耐久・高価格の容器です。FOSBはウェハメーカーからの出荷・輸送用で、天面はハンドル形状、輸送時の振動・衝撃対策とコストが重視されます。どちらもFIMS準拠のため、ロードポートには同じように載せられます。
比較表
| 観点 | FOSB(出荷用) | FOUP(ファブ内搬送用) |
|---|---|---|
| 主な用途 | ウェハメーカー→デバイスメーカーの出荷・輸送 | ファブ内の工程間搬送・装置への供給 |
| 天面構造 | 手持ち用ハンドル(人手・パレット輸送前提) | ロボティックフランジ(OHTが吊り上げる) |
| OHT自動搬送 | 原則非対応(載せ替えるか専用治具を使う) | 対応(AMHSの標準キャリア) |
| 収納枚数・規格 | 300mm×25枚・FIMS準拠でロードポートに載る | 300mm×25枚・FIMS準拠 |
| 耐久性・寿命 | 輸送の衝撃・振動に耐える設計。返送して再利用 | 数千〜数万回の開閉・搬送に耐える高耐久設計 |
| 価格帯 | 相対的に安価(輸送コストに見合う設計) | 高価(ファブ内の資産として管理される) |
| N₂パージ | 出荷仕様により対応(真空パック併用もあり) | ロードポート・ストッカーでのパージが標準化 |
| 主なメーカー | ミライアル・信越ポリマー・Entegris・Gudeng | Entegris・信越ポリマー・ミライアル・Gudeng |
なぜ出荷用と搬送用で容器を分けるのか
FOUPはファブ内の資産としてOHTに吊られ、1日に何度も装置へ着脱される消耗の激しい容器です。そのため天面のロボティックフランジ、位置決めピン、耐摩耗性に投資する価値があります。一方、出荷用の容器は輸送業者に渡り、輸送中の振動・落下・温度変化にさらされたうえで、空になれば返送されます。ここでFOUPと同じ高耐久・高価格の容器を使うのは経済合理性を欠くため、輸送に必要な保持構造とコストのバランスを取ったFOSBが使われます。
受け入れ時の運用:載せ替えるか、そのまま使うか
FOSBはFIMS準拠のためロードポートに直接載せられますが、ファブ内でOHT搬送に乗せるにはFOUPへの載せ替えが必要です。載せ替えはウェハトランスファー装置で行いますが、ウェハを1枚ずつ移す工程はパーティクル混入のリスクを伴うため、清浄度の管理された専用エリアで実施されます。ベアウェハをそのまま最初の工程へ流す運用では、FOSBのまま投入するケースもあります。
共通する課題:待機中の表面変質
容器の種類にかかわらず、内部に残る水分・酸素はウェハ表面の自然酸化やヘイズの原因になります。エピウェハやSOIウェハなど高付加価値品の輸送では、N₂パージ仕様の容器や真空パックとの併用が採られます。ファブ内では、ロードポートのボトムパージとパージストッカーによってFOUP内雰囲気を管理し、待機時間に敏感な工程(EUV露光後、Cu配線後など)の歩留まりを守ります。