SEMICONDUCTOR BASICS — 比較記事

FOSBとFOUPの違い(ウェハ搬送容器の比較)

FOSB(Front Opening Shipping Box)とFOUP(Front Opening Unified Pod)は、どちらも300mmウェハを25枚収納する前面開口の密閉容器で、外形もよく似ています。しかしFOUPがファブ内をOHTで走り回る「社内搬送の器」であるのに対し、FOSBはウェハメーカーからデバイスメーカーへ渡る「出荷の器」です。この用途の違いが、天面構造・耐久性・価格・運用フローのすべてに反映されています。

最終更新: 2026-08-12

結論:FOSB(出荷用)FOUP(ファブ内搬送用)の違いは?

FOSBとFOUPの最大の違いは「どこで使うか」です。FOUPはファブ内の自動搬送(AMHS)用で、天面にOHTが掴むロボティックフランジを持ち、繰り返し使用に耐える高耐久・高価格の容器です。FOSBはウェハメーカーからの出荷・輸送用で、天面はハンドル形状、輸送時の振動・衝撃対策とコストが重視されます。どちらもFIMS準拠のため、ロードポートには同じように載せられます。

比較表

FOSB(出荷用)FOUP(ファブ内搬送用)
FOSB(出荷用)FOUP(ファブ内搬送用)観点別比較
観点FOSB(出荷用)FOUP(ファブ内搬送用)
主な用途ウェハメーカー→デバイスメーカーの出荷・輸送ファブ内の工程間搬送・装置への供給
天面構造手持ち用ハンドル(人手・パレット輸送前提)ロボティックフランジ(OHTが吊り上げる)
OHT自動搬送原則非対応(載せ替えるか専用治具を使う)対応(AMHSの標準キャリア)
収納枚数・規格300mm×25枚・FIMS準拠でロードポートに載る300mm×25枚・FIMS準拠
耐久性・寿命輸送の衝撃・振動に耐える設計。返送して再利用数千〜数万回の開閉・搬送に耐える高耐久設計
価格帯相対的に安価(輸送コストに見合う設計)高価(ファブ内の資産として管理される)
N₂パージ出荷仕様により対応(真空パック併用もあり)ロードポート・ストッカーでのパージが標準化
主なメーカーミライアル・信越ポリマー・Entegris・GudengEntegris・信越ポリマー・ミライアル・Gudeng

なぜ出荷用と搬送用で容器を分けるのか

FOUPはファブ内の資産としてOHTに吊られ、1日に何度も装置へ着脱される消耗の激しい容器です。そのため天面のロボティックフランジ、位置決めピン、耐摩耗性に投資する価値があります。一方、出荷用の容器は輸送業者に渡り、輸送中の振動・落下・温度変化にさらされたうえで、空になれば返送されます。ここでFOUPと同じ高耐久・高価格の容器を使うのは経済合理性を欠くため、輸送に必要な保持構造とコストのバランスを取ったFOSBが使われます。

受け入れ時の運用:載せ替えるか、そのまま使うか

FOSBはFIMS準拠のためロードポートに直接載せられますが、ファブ内でOHT搬送に乗せるにはFOUPへの載せ替えが必要です。載せ替えはウェハトランスファー装置で行いますが、ウェハを1枚ずつ移す工程はパーティクル混入のリスクを伴うため、清浄度の管理された専用エリアで実施されます。ベアウェハをそのまま最初の工程へ流す運用では、FOSBのまま投入するケースもあります。

共通する課題:待機中の表面変質

容器の種類にかかわらず、内部に残る水分・酸素はウェハ表面の自然酸化やヘイズの原因になります。エピウェハやSOIウェハなど高付加価値品の輸送では、N₂パージ仕様の容器や真空パックとの併用が採られます。ファブ内では、ロードポートのボトムパージとパージストッカーによってFOUP内雰囲気を管理し、待機時間に敏感な工程(EUV露光後、Cu配線後など)の歩留まりを守ります。

関連ページ

FOSB(用語)
FOUP(用語)
ロードポート(用語)
EFEM(用語)
OHT(用語)
ウェハキャリア・FOUP・EFEMカテゴリ
ミライアル企業ページ(FOUP/FOSB専業)
信越ポリマー企業ページ(FOUP/FOSB・レチクルポッド)
シンフォニアテクノロジー企業ページ(ロードポート・EFEM)

よくある質問

FOSBとFOUPは互換性がありますか?
どちらもSEMIのFIMS規格に準拠しているため、ロードポートへの搭載という点では互換性があります。ただしFOSBの天面にはOHT用のロボティックフランジが無いため、天井走行搬送に乗せることは基本的にできません。ファブ内で自動搬送に乗せる場合はFOUPへ載せ替えます。
FOSBは使い捨てですか?
使い捨てではありません。空になったFOSBはウェハメーカーへ返送され、洗浄・検査を経て再利用されるのが一般的です。返送・洗浄の物流コストも含めて、出荷容器としての経済性が設計されています。
なぜウェハ出荷にN₂パージや真空パックを使うのですか?
輸送・保管の期間中に大気中の水分や酸素がウェハ表面に触れると、自然酸化膜の成長やヘイズ(曇り)が発生し、受け入れ側の初期工程に影響するためです。特にエピウェハやSOIウェハなど表面品質が価値そのものである製品で重視されます。

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